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ー閃光ー155
雄介の場合、本当に俺以外の誰にでも優しいのだから、雄介が大変な時には周りのみんなが手助けしてくれているようにも思える。もし雄介が優しくなくて意地悪な人間だったら、こうも人が集まって来なかっただろう。そこは本当に雄介のおかげでもある。
「おっ! 今日もいい匂いするなぁ、今日は裕実がご飯を作ってくれたのかぁ?!」
「違いますー! 今日も美里さんが作って行ってくれたんですよ」
「そっかぁ……そこは、やっぱり、美里さんだよなぁ?」
「……ですね」
「美里さん、ここでみんなの分、作って行ってくれたんだから、自分と琉斗君の分まで作ればいいのになぁ……」
「え? ちゃんと、美里さんは自分と琉斗君の分、お鍋に入れて持って行ってましたよ。今日は、琉斗君と二人で食べるとか言ってましたからね」
「あ、そっか……」
和也はそこで言葉を止めた。きっと心の中では「美里さんはそういうとこちゃっかりしているんだなぁ」とでも思っているのかもしれない。
俺はそこに一瞬クスリとしながらも、部屋の奥へと向かい、リビングへと入る。
「あれ? 朔望達は?」
部屋の奥へと入ってみると、今日は朔望達の姿が無いように思える。
「朔望達は残りの日数、自分の家に居るって言ってたぜ。それに、その家でなら、色々と使い放題だしな。って言ってたしな」
「あ、あー……なるほどねぇ」
変に納得しつつ、俺は部屋の方へ一旦向かい、鞄やスーツを脱いで私服へと着替える。そして再びリビングへと戻ってくる。
和也と裕実は仲良くキッチンに立ち、夕飯をテーブルへと運び始めていた。
二人がそうやって動いてくれているのに対し、雄介が何をしているのかと視線を向けると、ソファに座ってテレビを見ている姿が目に入る。
きっと記憶喪失になったことで、テレビを見ながらゆっくりするというのを覚えたのだろう。
逆に言えば、前とは立場が逆になってしまったようにも思える。以前は雄介の方が部屋の中をあちこち動いていたのに、記憶を失った雄介はのんびりしていることが多くなったのかもしれない。
それはそれでいいだろう。
記憶喪失だって立派な病気で、療養が必要でもあるのだから。
病気になるというのは、無意識に『体が休みたい』と訴えているのだとも思う。
その雄介の様子を俺は見ていた。
昨日、美里が言っていた通り、記憶喪失になっても感情のようなものはちゃんとあるらしい。
雄介はテレビを見ながら、笑ったり納得したりしているのだから。
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