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ー閃光ー160

 本当に和也は頭の回転が早いのかもしれない。  まさか、今の思い出話から逆手に取り、それを利用して雄介の記憶を戻そうとしているのだから。  もしかしたら逆効果になるかもしれない。しかし、それが記憶を取り戻す鍵になる可能性もある。 「他に、雄介との思い出とかあるのか?」 「そりゃな……たくさんあるに決まってるじゃんか……」 「じゃあ、特に印象に残ってることとかあるのか?」 「やっぱ、さっき話したけど、俺と雄介が初めて喧嘩した時だろ? あとは、雄介がレスキュー隊員になって大阪に異動が決まった時、黙って関西方面へ行っちゃったことだろ? 本当、そう言ったらキリがないぜ」  俺は、和也の言う通りに雄介との思い出話を話し始める。  かなり昔の話だから忘れていたけれど、雄介に異動命令が出て、俺に何も話さずに引っ越してしまったことがあった。あの時の俺は本当に寂しい思いをしていたことを思い出した。  だけど、今の状況は全く違う。  勝手に居なくなったあの時とは違って、震災で雄介と再会してからは連絡が取れるようになり、それが心の支えになっていた。しかし、今の雄介は記憶が無い。肉体はここにあるけれど、心はまるで空っぽだ。どっちがいいかと聞かれたら、どちらも辛いけれど、今の状況の方が余計に辛く感じるのは気のせいだろうか。  やはり、雄介の心と体が揃って初めて雄介だと言えるのかもしれない。  でも、記憶喪失だっていつかは治る。その時を待つしかないのだろう。  なら、今は和也たちがいる間に雄介の思い出話をしておいた方がいい。少しでも記憶の奥底に俺たちの存在が蘇ってくれれば十分だからだ。 「じゃあさ、和也は何か雄介のことで思い出話的なことはあるのか?」 「そうだなぁ?」  和也と俺がそんな会話をしていると、裕実の方も何かに気付いたらしく、目を丸くしたかと思うと、笑顔で俺たちの方へと視線を向けてきた。 「雄介とは色々あり過ぎたかな? まぁ、お前たちが初めて喧嘩した時の話に関係してるんだけどさ……。あん時、次の日だったか分からないんだけど、仕事の帰りに雄介が病院に望を迎えに来た時があっただろ?」  そこまで言うと、和也は俺の方を見た。 「ああ」  俺が簡単に頷くと、和也は話を続けた。 「あん時さ、俺は前日かなんかに雄介の家に話しに行ってたんだよな?」 「へ? そうだったのか!?」 「だろ? 確かこの話は望にもしたことがなかったから、多分、望的にも初耳だったと思うぜ」  そう言って、和也は話を始めた。

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