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ー閃光ー173
だって、今まで島での暮らしでは、本当に和也と裕実と雄介で悩みに悩んでやってきたのだから、自分たちの都合でそう簡単に閉院宣言なんてしていいものだろうか――そう思うからだ。
俺は大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出した。だからと言って、それがため息というわけではない。
自分を冷静にさせるための深呼吸だ。
「あ、えー……だけどさ……せっかく俺たちが島で働き始めて、最初のうちは全くもって島の住人たちは診療所に足を運んでくれなかったのに、やっとこさ、みんなで考えて、俺たちが島の診療所で働いているんだって各家を回って自己紹介して、やっと診療所に来てもらえるようになってきたばかりでさ。それを自分たちの都合で閉院するのは、どうかと思うんだけどな……?」
俺は真剣な瞳で裕二を見つめた。今までのことがあったからこそ、ここは譲れない気持ちがある。
裕二もさすがに色々と考えを巡らせているのだろう。視線を泳がせながら、何か思案しているようだ。
「だけども、島の住人だって、雄介くんがこんな状態なのを知ったら、『仕方ない』と思ってくれるかもしれないよ。逆に言えば、今の君たちがどんな人なのか分かっているからこそ、納得してもらえるかもしれないのだからね……」
「だけど、島の住人たちは、雄介が記憶喪失になったことなんて知らないんだから、それを信じてもらわないとどうしようもないだろ?」
「なら、軽く荷物をまとめて春坂へ戻るついでに、望と雄介くんと裕実くん、それに和也くんで一度島に戻ってみたらどうだい? 春坂に戻ってくるのは、一週間後でも翌日でもいい。その間は、朔望や歩夢を春坂病院で働かせておけば、春坂病院としても助かるしねぇ」
「あ……」
裕二の提案に、思わず納得するような一言が口をついて出た。
自分の親父である裕二がそう言うのだから、それでいいのかもしれない。今の状況を考えると、自分一人ではどうにもならないことが多々あるのだ。
ただ――和也と約束したことがあったような気がする。それは帰宅してから、改めて和也と相談する必要がありそうだ。
「分かった。親父がそこまで言ってくれるんだったら、考えてみるよ。後は家に帰ってから和也たちと相談してみる。だって、和也たちは今まで俺のために一緒に動いてきてくれたからな」
「ん、まぁ……そうかもしれないね。私からの提案はあくまで参考だから、最終的に決断するのは望たちだよ」
そう言うと、裕二は俺の隣から立ち上がり、部屋を出て行った。
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