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ー閃光ー176

 和也が来てくれたことに、何だか安心できた俺。  今にも鼻歌を無意識のうちに口ずさみそうだ。それくらい、今の俺はご機嫌なのだから。  「ん?何で?!」と、自分に自問自答してしまう。  だが、どうしてこんなにも機嫌がいいのか。その理由を考えてみると、やはりすぐそばに和也がいてくれるからなのだろう。  そう考えた瞬間、体からふっと力が抜けた気がした。  和也って、何も考えていないように見えるけど、実は今まで俺のために色々と尽くしてくれていたんだと、今更ながらに気づく。  きっと、そんな和也がここにいるだけで安心できて、俺までご機嫌な気分になれたのだろう。  和也って、俺に対して押したり引いたりが上手い人でもある。  なのに、俺はどうして今までそんな和也に気づかなかったのか。  いや、和也と少し距離を置いた時間が、そういうことを教えてくれたのかもしれない。  そんなことを考えながら、俺はまた自然と笑顔になっていた。  さっき着替えに行った和也がロッカールームから出てくると、背後から近づいてきて、ソファの背もたれに両腕を預け、俺の顔を覗き込むなり、 「何だか、今日の望はご機嫌そうだなぁ」  そう笑顔で言ってくる。  俺は思わず、 「あ、いや……べ、別に……そんなことはねぇよ……」  と、口ごもりながら返した。  赤くなった顔を和也に見られたくなくて、顔を俯けてしまう。  その直後だった。  俺の顔をじっと見ていた美潮が、 「あー! って、何で、吉良先生……顔赤くしてるんですかー?!」  と、大きな声で突っ込んできた。  突然のことに、俺も和也も目が点になる。俺は思わず和也の方へ視線を送った。  和也からしてみれば、美潮のことをまだよく分かっていないからだろう。「何、コイツ!?」と思っているに違いない。和也の表情を見る限り、そう読み取れてしまった。 「え? アイツってい、いつもあんな感じなのか?」 「え? あ、ああ……いつも、あんな感じ……」 「やっぱ、今時の子って感じなのかな?」 「……みたいだぜ」  小さな声で和也とそんな会話を交わしながら、俺はため息をついた。  すると、美潮がまた、遠慮のない口調でこう言ってきた。 「しかし、吉良先生と梅沢さん? って本当に仲良さそうですねぇ。え? え? もしかして、お付き合いされているとか?」  何もオブラートに包まず、ストレートに聞いてくる美潮にため息をつきつつ、俺と和也はまた視線を合わせる。  和也は俺の視線に気づくと、 「ってか、さっき話聞いてなかったのか? ってか、お前って、俺等のこと何も知らないわけー?」  と、美潮に問いかける。 「だって、吉良先生は僕にはプライベートのことなんか話してくれませんもん。そりゃ、当然わかるわけがないじゃないですかー」

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