894 / 936

ー閃光ー182

 そんな和也を、俺はかなりの勢いで邪険にしてきたように思える。  本当にこういうことって、「離れて気付く」という言葉そのものなのかもしれない。  しかも、今のパートナーである看護師が美潮だからこそ、余計に気付けたのだろう。  たとえ俺が和也のそういうところに気付けたとしても、俺は俺のままでいられるのかもしれない。いや、いられるのだろう。  そう、和也は俺のことを理解してくれているのだから。  きっと、和也は俺からのお礼なんて望んではいないだろう。和也もまた、ずっと俺のそばにいられるだけで満足しているのかもしれない。  俺は着替えを終えて、ロッカールームから出てきた。  すると和也は、 「んじゃ、次は俺なぁー……」  そう明るく言いながら、ロッカールームへと消えていく。  なんだかんだで、今日も一日仕事が終わった。  この仕事は嫌いではないが、やはり終えるとホッとする。  俺がソファでまったりしていると、すぐに着替えを終えた和也が出てきて、 「じゃ、帰りますか?」 「……だな。んじゃ、このまま和也を乗せて家に帰ればいいんだな?」 「えー!? 和也君来る時、バス乗って来たのに、帰りは望の車に乗せてくれないんですかぁー?」  そう子供のように愚痴る和也に、笑いそうになりながらも、俺の性格上、あまり笑うことはせずに、 「あのなぁー、子供じゃねぇんだから、変に甘えたように言うんじゃねぇよ!」  そう軽いノリでツッコミを入れながら言う俺。 「ふふ……やっぱり、そういうのが望だよなぁ?」  そう独り言のように呟きながら、和也は部屋を出ていく。  その様子に首を傾げながらも、俺も部屋を後にする。 「本当に、今の生活で望一人で大丈夫なのか?」  部屋の鍵を閉めたと同時に、さっきとは違う真剣な声で和也が言い始めた。  その言葉に、一瞬体が強張ってしまったのは言うまでもない。  だが、俺は相変わらず和也に素直に自分のことを言い出せなくて、 「え? あ、大丈夫だから……まぁ、何とかなってるしな」  と答えてしまう。  さっきまで自分の中で和也のことをベタ褒めしていたはずなのに、今ではもうそんなことさえも忘れているのか。やはり和也の前では、ありのままの自分でいるのが一番だと判断した。それでいいのだろう。 「そうか……言葉ではそう言っていても、今一瞬体は反応していたように思えたんだけどな」 「だから、大丈夫なんだって……」  本当に俺は、自分の性格に頭が来るくらいだ。なんでこうも和也の前では素直になれないのだろうか。

ともだちにシェアしよう!