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ー閃光ー186
和也に言われて思い出したのだが、確かに男性にもそういう疑似体験ができる装置が開発されたとかいう話を、テレビで紹介していたように思える。
でも、多分俺たちにはそういうのは必要ないような感じがするのは気のせいだろうか。
俺は確かに子供に関してさほど興味はないのだが、雄介が子供好きで専業主夫として家にいるのだから、そこは必要ないと思っているのかもしれない。
そう言われてみれば、雄介の場合、本当に子供が好きだ。
雄介は兄弟の中で一応下の立場なのに、何でそんなに子供の扱いに慣れているのだろうか。普通、一人っ子や兄弟の末っ子っていうのは、自分の下に兄弟がいないのだから、子供の扱いには慣れていないと思うのだが。
実際、俺なんかは兄弟がいるものの、二人とも海外で暮らしていたもんだから、ずっと一人っ子みたいなもので、全く子供の扱いなんて慣れていなかったのだから。
さすがに子供を虐待するとかっていうのは、俺たちには絶対にないだろう。それに、何だかんだ言ったって、美里さんのお腹の中にいる子供は、俺と雄介の子供なんだから。養子ではなく血のつながった子供なのだから、そういうことは絶対にないと思う。
「今、和也の言葉で考えてたけどさ、やっぱ、俺たちにはその疑似体験できる装置っていうのは必要ないんじゃねぇかなぁ? 俺も雄介も子供を虐待するような性格でもないしさ……あー!」
そこで、本当に今までスッカリ忘れていたことを思い出した。
「そういや……記憶喪失の雄介に、俺たちの子供がいることを言うのを忘れてた……」
何で今までこういう重要なことを忘れていたのだろうか。いや、そこは仕方ないだろう。今まで雄介が記憶喪失になってしまって、俺の中ではパニック状態だったのだから。
「あー……確かに、そこは俺たちも雄介に伝えてないかもしれねぇな……とりあえず、今日、その重要な話は記憶喪失である雄介にも話しておいた方がいいんじゃねぇのか?」
「あ、ああ……そうだな」
そう答えると、俺は家に向けて車を走らせる。
本当に、雄介が記憶喪失になってしまって、自分がこんなにもパニック状態になっているなんて思ってもみなかった。いや、だけど、大切な人が記憶喪失になって、パニックにならない方がおかしいだろう。
そこは人間なのだから、当たり前の反応なのだ。
本当に和也たちが春坂に来てくれて良かったとさえ思える。もし来なかったら、俺はずっとこのままだったのだから。むしろ今は、ある意味負担も軽減されて、前よりずっと冷静でいられるようになった。それはきっと和也たちのおかげだろう。
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