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ー閃光ー189

「エレベーターの緊急ボタンを探していたわけ……」 「ああ……」  和也のその言葉に一応納得する俺。  そう、俺の記憶の中で分かっているような、分かっていないような曖昧な記憶だったからなのかもしれない。  そんな俺がこんな風な答え方をしたもんだから、和也の方は気付いたのか、 「この緊急用のボタン……もし、何かあってエレベーター内に閉じ込められた時に、エレベーターの管理者と連絡が取れるようになってるんだよ。だから、押してみたんだけど……全くもって何も通じねぇって言うの?」 「……へ? そうなのか?」 「ま、状況的に何が起きているのか? っていうのは分からないんだけどさ、エレベーターが止まって、電気系統もこの分だとやられていると思うんだよな。このボタンを押しても何も無いってことは、電話ケーブルもなのかな? とりあえず、俺たちはここに閉じ込められたってわけだな」 「……はぁ!?」  和也のこう冷静な分析で、なんとなく俺たちが置かれている状況を把握することができたような気がしたのだが、どうしたらいいもんかと考えるところだ。しかも、和也曰くエレベーターの管理会社にも連絡ができない状況なのだから。  俺はすぐにスマホを胸ポケットから取り出す。  今の時刻は十九時過ぎ。この時間だと社会人がみんな帰宅の時間なのだろう。今、この事態がこの周辺だけで起きているのか、それとも全国的に起きているのかが全く分からない。しかもエレベーターの中なのだから、外の様子を見られる窓もない状況だ。これがもしデパートやビルだったなら、窓があって外の様子を把握できたと思うのだが。全くもって今の状況は完全に真っ暗闇の個室化してしまっているのだから。  それと同時に、大きなため息が聞こえてくる。  今日は和也の方も久々に仕事をしたからなのか、どうやら疲れているらしく、地べたへと腰を下ろしたように思える。そう、そのでっかいため息が俺目線より下から聞こえてきたのだから。 「まぁ、考えたって仕方ねぇか……ま、ポジティブにいこうぜ。とりあえずスマホの充電は生きてるから、まずこの状況を裕実にでも伝えるか……?」  そこまで独り言なのか、俺にも言っていたのかっていうのは分からないのだが、和也はスマホを取り出すと、一瞬画面を眺め、 「あ! 俺的には裕実に連絡するのやめとくわぁ……」  そうまた意外な言葉に、俺の方は声を裏返すのだ。 「……はぁ!? なんでだよ……?」 「だってさ、俺たちがエレベーター内に閉じ込められているっていうのが分かったら、アイツのことだから、絶対に吹っ飛んで来るだろ? そしたら、アイツのことだから色々とめんどくさいじゃんか……んで、マンションのエレベーター外で騒がれたりしたら、周りに迷惑かけるんじゃないかと思ってよ」

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