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ー閃光ー190

 和也にそう言われて、俺は天井へと視線を向け、想像してみることにした。  確かに和也の言う通り、裕実の場合、和也がエレベーター内にいると知った途端、ここまで来て騒ぎ出すのは間違いないだろう。 「だけど、誰かに俺たちの存在を知ってもらいたいだろ?」 「あー、まぁ……確かになぁ……? じゃあ、朔望にでも知らせておくか? そしたらアイツだったら、なんとかしてくれそうなんじゃねぇのか? こうな、裕実のことをちゃんと冷静に止めてくれるとかさ」 「……って、今日は朔望たちが家に来ているのか?」 「ああ、午前中は来てたけどな。そっからは分からないけどさ……。とりあえず、朔望に連絡だけはしとくわぁ」  和也はそう言ってスマホを取り出し、朔望へ連絡を始めたようだ。  和也はエレベーターの地べたに腰を下ろしていたのだろう。スマホの明かりが点くと、和也の顔が浮かび上がる。指先が素早く動く音から、メールを打つ速さがかなり早いことが分かった。  俺はその音を聞きながら、本当にこれからどうするべきかを考える。  スマホの明かりがなければ、ここは本当に真っ暗だ。  この世界観は、前に震災に遭った時以来かもしれない。いや、俺たちの場合、病院内にずっといたから、自家発電のおかげで明るいまま過ごせていたのだが。自家発電がない場所では、ずっと暗闇の中でみんな生活していたのだろう。  和也はメールを打ち終えたのか、俺の方へ視線を向けてくる。しかしその直後、スマホの画面が暗くなり、再びエレベーター内に暗闇が戻ってきた。 「とりあえず! 朔望には連絡しといた。どうやら、この辺一帯で停電しているみたいなんだよな。家の方も窓の外も、全体的に真っ暗なんだってさ」 「……へ? そうなのか?! 外も真っ暗ってことなのか……」  最後は独り言のように呟いた俺。  ということは、この真っ暗な状況は、この辺一帯に住んでいる人たちにとっても同じことなのだろう。しかし、急に何が起きたのだろうか。  とりあえず復旧を待つしかないのだが、この状況下で本当のところどうしたらいいのか、見当もつかない。 「ま、とりあえず、復旧するまで待つしかないのかー……」  そう言いながら、和也はリュックを開けた。 「とりあえず、水とカロリーメイトに、お腹を少し満たしてくれるゼリーが二セットずつあるから、これでどうにか待つしかないかー……」  俺の頭の中には「?」マークが浮かんだ。和也のリュックがいつもやたら大きいと思っていたが、どうやら彼は、もしもの時のためにと、防災用品の一部をリュックに入れて持ち歩いていたらしい。

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