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ー閃光ー192

「も、いいんじゃねぇ? 裕実に言ってもさ……」  そう言ったのは俺だ。  その俺の言葉に、和也は俺の方へと視線を向けてくる。 「ん? え? あー、そうだなぁ……」  と、俺の意見を聞いてもまだ考え込んでいる和也。 「え? なんでだよー。別に、エレベーター内に俺たちがいるって言った方が安心じゃねぇのか? 俺だったら、どこにいるのか分からないより、どこにいるのか分かった方が安心するもんだけどな」  俺的には本当に普通の意見だと思っていたのだが、どうやら和也からしてみたら、そうでもなかったらしい。スマホを握りながらにやにやしている和也の表情が、俺の視界に入ってくる。 「あらあらぁ、望さんも言うようになったわねぇー。やっぱり、そこは雄介と結婚したからなのかしら?」  本当にどこぞの奥さんみたいな口調に、俺は引き攣ったような表情を見せる。 「あ、あのな……別に、俺はふざけて言ってねぇの。普通にごく普通の意見をしただけであって、それに……裕実の場合もそうだろ? どこにいるか分からないより、今どこにいるのかを教えてあげた方が安心するって性格だろ? 逆に、それだけお前は裕実と長くいて、裕実の性格とか分かってないのかよ……」  と、逆に俺が呆れたように言う。 「あー、そうかぁ……ま、確かに、裕実の性格上、言わないよりは言った方が良かったんだっけ……それに、嘘つかれるのも嫌だったんだよなぁ?」  と、裕実の性格を思い出したのか、和也はそう独り言のように言い始める。  とりあえず、俺の言葉で和也が反省したのならいいだろう。 「んじゃ、マンションのエレベーターに閉じ込められている、って裕実に教えたらいいんだよな?」 「普通にそれでいいんじゃねぇのか?」  と、俺は普通に答える。 「しかも、裕実のスマホに?」  何でそこまで和也は裕実にメールを送るのを躊躇しているのだろうか。疑問を浮かべながらも、俺は顎だけで「メール送ってやれよ」と合図する。  確かに、今は和也と裕実はごく普通の恋人同士なのだから、普通にメールを送れる間柄のはずだ。だが俺の場合はどうだろう。もし俺がエレベーターに閉じ込められて、雄介が家にいたら……俺は雄介に「エレベーター内に閉じ込められている」と素直にメールを送るだろうか? いや、きっと送るだろう。  確かに今は記憶喪失の雄介だが、記憶喪失になる前はレスキュー隊員でもあり、小児科医でもあった。だからこそ、俺は雄介を信じて助けを待つに決まっている。

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