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ー閃光ー198

 そして、一瞬首を傾げたように思えた裕実だったのだが、笑顔になって、 「いえいえ……僕たちの方こそ、望さんにはいつもお世話になっているので、ありがとうございます」  と、逆に返されてしまった。  本当に裕実というのは礼儀正しいというのか、そういうところが本当にいいところだ。  テーブルの上に料理を並べ終えると、 「料理ができたぞー!」  と和也と雄介を呼んだのは俺だ。  今日は裕実が夕飯を作ってくれたにもかかわらず、何故か俺が二人を呼んでしまった。だが、裕実はそこを気にすることもなく、俺に向けて笑顔を見せてくれるだけだった。  その笑顔には「ありがとうございます」っていう言葉も含まれているように思える。  裕実の笑顔に、俺も笑顔を返すと、四人でテーブルを囲み、 「いただきます」  と声を揃えて言った。  なんだか、こうして四人でテーブルを囲んで食べるのは久しぶりのような気がする。  確かにここ数日、和也も裕実もいたのだが、なんだかんだで美里や朔望たちがいて賑やかだったりしたからだろう。だから、四人だけというのは久しぶりに感じたのかもしれない。  裕実が作ってくれた料理を口にする。確かに料理初心者にとって一番作りやすいのはカレーだろう。  カレーって、人によって味が違う。同じルーを使っていてもそうだ。  でも、裕実が作ってくれたカレーは、美里直伝だからなのだろうか。雄介が作るカレーと似たような味がするのは気のせいだろうか。 「美味いっ!」  と思わず口にする俺。  人間、グルメリポーターでもない限り、本当に美味い料理には「美味い」以外の言葉は出てこないものだ。本当に本当に、その料理が美味しいのだから。  だが、俺のその言葉に裕実は満足していない様子で、 「初心者でも作れる料理で褒められても……ねぇ……?」  と言いながら俺の方へ視線を向けてくる。 「あー……そういう意味じゃねぇよ。でも、本当に美味いんだよなぁ……なんていうのか、懐かしい味っていうのかな?」  俺は美里のことには触れず、裕実が作ってくれた料理が美味しいことを素直に褒めたつもりだった。 「あ! そうか! 望が『美味しくて懐かしい』って言った意味が分かった!」  そうマジな顔で言う和也に、それを止める術もなく、 「今日、裕実が作ってくれたのは美里さんに教えてもらって……ってことだったんだろ? ならさ、美里さんと雄介は兄弟なんだから、そりゃ桜井家直伝の味なんだよ。望が懐かしくて美味しく感じるのは、そういうことなんじゃねぇのかな?」  と、俺が思っていることを全て言われてしまった。  俺は顔を俯け、大きなため息をつく。  本当にそこまで言わなくてもいいと思うのだが、和也の場合、こういうことに抑えが効かないのだろう。

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