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ー閃光ー200

 もう俺の性格上、素直になれないのは自分でも自覚している。だから、お皿を置きに行くついでに、小さな声で和也や裕実に感謝の言葉を伝えたのだ。  それと同時に、俺はダイニングテーブルから少し離れたテレビとソファの方へ向かう。  やはり、感謝の言葉を言った後にダイニングテーブルに戻るのは、さすがに恥ずかしかったからだ。  先ほどの俺の感謝の言葉に、裕実も和也も微笑みながら「ま、いっか……」という声が聞こえてきた。それくらいの反応が、俺にとってはちょうどいい。  そして、気付くと雄介も夕飯を食べ終えたのか、ソファに座る俺の隣にやってきた。 「あのー……」  突然、雄介が声を掛けてくる。  その声に思わず俺は雄介の方へ視線を向けてしまった。  やはり、長年聞き慣れた雄介の声だからなのだろうか。つい、その声に反応してしまったのだろう。 「……ん?」  少し遅れて返事をする俺。  一体、雄介が何を話そうとしているのか気になった。 「あの……望さん? 最近、私と一緒に寝ておられるようなんですが……」  記憶喪失の雄介からのその言葉に、俺は思わず顔を赤くする。  今の雄介は、俺の中では雄介でありながら、雄介ではない――そう無意識に分けてしまっている。確かに、そんなふうに考えるのは変かもしれないが、性格上そうしてしまうのだから仕方がない。  でも、記憶喪失の雄介でも、少しずつ受け入れていこうとは思っているのだ。 「あー……まぁ……そ、そうだけど……あー、なんていうのか……ほら、和也たちがいて、俺が寝るとこなかったからな……」  そう言って誤魔化す俺。むしろ、俺と雄介が恋人同士になった頃のような関係に戻ってしまった、というのが正しいのかもしれない。  何だか、雄介に対するこのツンとした態度は本当に久しぶりだ。せっかく最近は、記憶がある頃の雄介の前では素直になれるよう努力していたのに、これではまた振り出しに戻ってしまったようだった。  そうか――もしかしたら、記憶喪失の雄介ともう一度、恋人同士というよりも、友達同士のような関係から少しずつ以前の関係に近づけていけたらいいのかもしれない。  俺はまず、雄介とたくさん話せるよう努力しようと決めた。 「そうだったんですか……そこのところは少し残念です」  いつもなら、記憶喪失の雄介との会話はそこで終わってしまうのだろうが、今日は一歩でも前進するために話を続けることにした。 「とりあえずな……とりあえず……ん、まぁ……今はしょうがないよな? あ、まぁさ……」  しかし、俺の会話はまだまだぎこちない。しかも、話しながら視線を天井に向けてしまっているのだから。

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