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ー閃光ー201

 俺にとって、人と話すというのは基本的に難しい。でも、記憶喪失である雄介との一歩を進ませるためには、雄介と話をしていかないと、俺たちの関係は進んでいかないだろう。  そうだ! 俺の中で、記憶喪失の雄介と前に進もうと決めたのだから、とりあえず今はその一歩として、雄介との会話を楽しむことを目標にしたい。 「え……まぁ、確かに、そうですけどね……」  雄介は本当に残念そうに言っている。でも、俺の性格を変える必要はないと思う。それに、記憶のある雄介は、わがままで素直じゃない俺のことを好きになってくれたのだから、わざわざ俺が雄介に合わせる必要はないということだろう。  そう考えると、気持ちが少し楽になった気がした。  雄介との会話を前より増やすとしても、自分の性格は変えず、素直じゃない自分を演じて、それでも俺を好きになる記憶のない雄介を、俺も好きになっていこうと思ったのだ。 「でも、残念がることはないんじゃねぇかな?」  俺は天井の方に視線を向け、会話のような、そうでないような言葉を繋げてしまっていた。  だって、実際に記憶喪失の雄介にどう接していいのか、俺だって分からない。でも、会話を続けようとした結果が、こんな訳の分からない答えになってしまったのだろう。 「……残念がることはない?!」  そこに妙に反応してくる雄介。 「え? あ、あー……んー……」  自分でも訳が分からないことを言っているのは分かる。でも、雄介と会話をしたくて必死なのも、自分自身で理解していた。  そこで俺は和也の方へ視線を向け、助け船を要求したつもりだった。だが、なぜか全くフォローしてくれそうにない。むしろ、裕実とコソコソ話をしているようだ。和也はニヤニヤしたまま、裕実に至っては俺たちを応援しているかのように拳を握り、「ガンバッ!」とだけ励ましてくれているようだった。  きっと俺がしようとしていることが、和也や裕実にも伝わったのだろう。あの二人は俺のことをよく知っているのだから。 「あー、まぁ……そのうち分かるからっ!」  俺は雄介にそう力強く言うと、その場で立ち上がった。  今日は記憶喪失の雄介との会話を頑張ろうと自分なりに思っていた。でも、どうやら今日はそこまでが限界だったらしい。  そう言うと、俺はそのままお風呂場へと向かった。

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