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ー閃光ー205
本当に裕実らしい言葉に、俺はただただ納得してしまう。
もう裕実とも軽く十年以上は付き合ってきている仲なのだから、十分に彼の性格を理解しているつもりだ。
和也がああいう調子者だからなのか、本当に裕実があの和也を止めることの方が多い。そして、俺の気持ちになって色々と考えてくれるのが裕実だ。だからなのか、彼に対して妙な安心感があるのは気のせいだろうか。それでいて、和也以上に裕実に心を許してしまっているのも事実だ。
静かなこの空間で、裕実は両手をテーブルに付け、その手の上に顎を乗せて俺を笑顔で見つめてくる。
笑顔なのに、何かこう意味ありげな感じなのは一体なぜだろうか。
その視線に、俺の方が冷や汗が出そうになってくる。
「……ん?」
俺は裕実のことを見つめる。視線を外すと隙が生まれるような気がして、何かを言われそうな気がしたからかもしれない。
いや、裕実に限ってそんなことはないだろうが、微笑みの奥に何かを感じてしまったのだ。
そんな雰囲気の中で、なぜか俺の心臓の音だけが高鳴り始める。
裕実とこの空間に二人きりでいるのに、この緊張感のようなものは一体なんだろうと思う。やはり、裕実と二人きりというのは本当に苦手だ。
何も言わないのに、この緊張感がずっと続いているのだから。
「あー、今日、昼間の美里さんとの感じはどうだったんだ?」
言葉が出てきても、俺は裕実の瞳を真っ直ぐに捉えることができない。
「あー、そうですね……」
そう言って、やっと裕実が俺の瞳から視線を外してくれた。その瞬間、俺がホッとしたのは言うまでもないだろう。
「楽しかったですよ。なんて言うんでしょうか? 琉斗君への愛を感じる話ばかりしてましたからね。美里さんは本当にいいお母さんですよ。だって、僕にはお母さんがいませんでしたからね……。本当のお母さんって、子供にこんなにも愛情を注ぐもんなんだって分かりましたから……」
そう笑顔で話す裕実なのだが、心の奥にある過去からくる寂しさのようなものが薄らと表情に出ていたような気がする。
もしかしたら今日の裕実は、美里と一緒にいたことで、自分の母親と美里を比べていたのかもしれない。
いや、裕実の母親は父親のせいで家を出て行ってしまったと言っていたのだから、本当の母親を知らないのだろう。いや、むしろ父親だって本当の父親を知らないのかもしれない。
「こう、自分の子供に対してベタ褒めでしたからね……母親の愛情って、本当は素敵なものなんですね……」
裕実は本当の笑顔でそう言った。その表情からは、美里という母親に対する憧れを抱いていることが伝わってきた。
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