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第3話
「光希、遅くないか?」
「そうか?まだ夕方の5時だ。心配しなくてもそのうち帰ってくるよ」
心配症は兄貴にそっくりだ。
遥琉は俺より年下だが、兄貴のなかの兄貴で、男のなかの男で、ヤクザのなかのヤクザだ。この世で一番尊敬している人だ。
遥琉なんて、本人の前で呼び捨てにしたらそれこそ失礼にあたる。兄貴を慕う大勢の若いヤクザに間違いなくぼこぼこにされる。半殺しにされる。そのくらい兄貴は素晴らしい男だ。
柱時計を何度もチラチラと見ながら洗濯物を畳む龍。
「あぁ~~!」
「いきなり大きい声を出すな。心臓に悪い」
「兄貴、これ。見てよ。こんなパンツ持っていたっけ?」
シルクか?よく分からないが、スケスケの紐パンを凝視する龍。
「やっぱり浮気している」
半泣きする龍。
だめだ、こりゃ。
もはやため息しか出ない。
そのときスマホの着信音が鳴り出した。画面を見ると光希からだった。すぐに電話に出た。
「早く帰ってこい」
ーごめ~~ん。アタシー
「は?なんでお前が光希のスマホを持っているんだ」
電話を掛けて来たのは光希と一番仲がいい千里だった。
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