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第4話

ー光希ね、吐き気がず~~と止まんなくて、病院で点滴中なのー 「本当か?」 ー嘘ついてどうすんのよ。てかさぁー、昨日から光希具合が悪かったんだよ。顔色が悪くなかった?なのに誰よ、光希に無茶させたのは誰ー 千里の声は甲高い。それに遠くまでよく通る。だからスマホを耳から離しておかないと頭がズキズキと痛くなる。 俺や遥琉、年上にも臆することなく堂々とものが言える千里はたいした女だ。曲がったことが大嫌いで、男勝りで、気っ風もいい。 さすがは兄貴の義妹《いもうと》。橘の妹だ。 ー遼成さん、ちょっと聞いてる?龍成、そこにいるんでしょう。何か言ったらどうなの?ー 「聞こえているから頼むからガミガミ言わないでくれ。それと龍はそれどころじゃない。千里、その、あれだ」 ーあれ?ー 「だからその………」 この俺に言わせる気か?いい加減分かれ。 ーあっ!もしかして紐パンのことかしら?それね、アタシが光希にプレゼントしたの。マンネリ防止よ。店で見掛けて絶対光希に似合うと思って買っちゃったの。ねぇ、ねぇ、可愛いでしょう?ー 「龍は光希の浮気を疑い、半べそをかいて、かなり落ち込んだぞ。千里、この落とし前は……」 ーな~~んも聞こえませ~~んー 「は?ふざけるな」 ーぶざけてないも~~ん。点滴が終わったら、ダーリンに送り届けてもらうからちゃんと受け取ってね。2、3日は絶対安静。エッチも禁止よ。龍にちゃんと言っておいてね。じゃあね、バイバイ~~ー 「おぃ、千里」 ぶちっと電話が一方的に切れた。 「あ、切りやがった」 スマホに向かって文句を言っていたら、龍に笑われてしまった。

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