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第6話
「裕貴にもか?」
「えぇ。那奈さんがすんなり遥琉との離婚に応じる訳がない。本人は否定していますが那奈さんが浮気しているのは事実です。裕貴さんには動かぬ証拠をつかんで欲しいと頼みました」
「あの~~ちょっといいか?」
写真をじっと見ていた龍が右手を挙げた。
「どうしました?」
「他人の空似かも知れないが、那奈に似てないか?」
「似てて当たり前です。彼は那奈さんの父違いの弟です。そして、播本さんの孫です」
「……」
何かの聞き間違いじゃないかと自分の耳を疑った。それは龍も同じだった。
「嘘だろう」
「マジか」
俺も龍も目を丸くして橘を凝視した。
「裕貴さんは久田原の名字を聞くなり、すぐに気づきました。さすがです。裕貴さんは妹と甥が出来たと喜んでいました。もうすでに未知さんと、未知さんの子どもの一太くんが目にいれても痛くないくらい可愛くて仕方がないみたいです。過保護なシスコンほぼ確定です。遼成さん、いつになるか分かりませんが、未知さんもあなたのことをりょうお兄ちゃんって呼んでくれるはずですよ。柚さんに、今の今までお兄ちゃんって一度も呼んでもらっていないでしょう?」
橘は怖いくらい冷静で。顔色ひとつ変えず淡々としていた。
俺が一番気にしていること、痛いところをつきやがる。
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