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第8話
「橘がいなくなったら寂しくなる」
「口喧しい小姑がいないほうが遥琉も羽を伸ばせますし、未知さんとのラブラブな新婚生活を謳歌することが出来るでしょう」
「まさか弓削が橘にほの字だったとはな。天地がひっくり返るとはまさにこのことを言うんだな」
「龍黙れ!」
思わず手が出てしまった。
「いて!いきなり叩くことないだろうが」
「弓削じゃない」
「だったら誰なんだよ」
「弓削の部下で、一人だけ橘に熱い視線を送っているのがいるだろう。おそらく彼じゃないのか?」
「彼って誰だ?さっぱり分からん」
龍には誰か見当がつかないみたいだった。
「その恋が実るように祈っているよ。共犯になればいいんだろう?協力できることはなんでも協力する」
「遼成さんなら分かってくれると思っていました」
橘が右手をすっと差し出した。
俺は迷わずその手を握り、握手を交わした。
「遼成さんには播本さんの息子の颯人さんをそれとなく監視して欲しいのです。颯人さんは昔から素行が悪く何度も補導され前歴もあります。表向きは会社員ですが、詐欺や恐喝まがいのことをしています。颯人さんは手嶌組の拝島さんと裏で繋がっています。未知さんと一太くんに危害を加えるかも知れません。手嶌組は縣一家の枝。拝島さんは遼成さんには逆らえない立場だと遥琉から聞きました」
「ヤクザは縦社会で上下関係が厳しいからな。分かった。拝島と颯人の動きを監視すればいいんだろう。任せておけ。橘、その写真、もらってもいいか?」
「もらってどうするんですか?」
「そりゃあ もちろんお守り代わりに財布に入れて持ち歩くためだ」
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