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第12話
ー遥琉、駄目ー
ーなんで?ー
ーだからー
ー見られていると思うと余計に興奮しないか?ー
ーしません。暑苦しいから離れてください!ー
俺は気付いた。
口では散々嫌だ、やめて、恥ずかしい。と言いながらも橘は嬉しそうに遥琉とところ構わずいちゃつき、人目を憚らずキスをしていた。
「おぃ、笹原」
「遼成さんも気付いた?」
「あぁ。橘が本当に嫌がってる。いままでない塩対応だ」
光希に嫌われたらそれこそ死活問題だ。光希は俺たちにとって太陽そのものだ。太陽を失った草花はひっからびて死んでしまう。
だから、こういうときは素直に謝るに限る。
夫婦円満の秘訣は毎日のハグと挨拶代わりのキス。喧嘩しても一歩譲ってすぐに謝って仲直りする。
しょっちゅう焼きもちを妬いて兄弟喧嘩をはじめる俺と龍に非があるのは認めるが、光希が可愛すぎるのもおおいに問題アリだと思う。起きているときの顔も寝顔も気持ち良さそうにとろんとしている顔も、全部ひっくるめて可愛い!可愛すぎる!
なんて考えていたら、俺のが反応して収まりがきかなくなるから困ったものだ。
それは龍も同じだった。さすが兄弟。性格は逆でも、光希のことになると息ぴったり、馬が合うから不思議だ。
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