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第13話

「光希、すまなかった」 龍と並んで座り頭を下げた。 「どうしたの二人とも」 「最近光希の様子が変だから、その………浮気しているんじゃないかと……」 「あまりにもしつこくするから、ついに愛想を尽かされたんじゃないかと」 光希が目を丸くしきょとんとしていた。 千里が光希の体を支えて起こしてくれた。 「俺のほうこそごめんなさい。二人に言わなきゃならない。分かってはいたんだけど、なかなか言い出すことが出来なくて」 「兄貴の将来に関わる重要なことだ。無理もない」 俺と龍と視線が合うと光希は頬を赤らめて俯いた。 「あの~~昨日も言ったけど」 「何だ?」 「光希、熱が38度もあるの。エッチは禁止。治ってから思う存分エッチしたらいいでしょう」 「は?」 「は?じゃないわよ。兄貴に言い付けるわよ。それともお兄ちゃんのほうがいい?」 千里の目は嘘を付いているようには見えなかった。 「分かったよ。完治するまで我慢する。それでいいだろう」 「やけに素直じゃない。どうしたの?何かいいことあった?」 「なにもねぇよ」 ぷいっと顔を逸らした。 「光希、お粥が出来たよ。千里、さっきエッチはって聞こえたような……気のせいか?」 「気のせいよ」 千里がくすりと笑った。 千里と光希がちらっと目を合わせた。 「ダーリン、遼成さん、龍成さん、未知はアタシと光希にとって一生、かけがえのない存在になる」 「だから、未知と一太と仲良くしてても焼きもちを妬かないで欲しい」 「未知は妹になるんだ。一太は男だけど、俺らが焼きもちなんて妬くわけないだろう。な、笹原、龍」 「当たり前だ」 龍はどさくさに紛れて光希の手を握ろうとしたが、千里に阻まれた。 千里を出し抜こうなんて100年早い。いい加減分かれ。 「千里がそう言うなら、俺も焼きもちを妬かない」 笹原は千里の尻に敷かれている。千里の言いなりだ。

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