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第14話

数日後。俺は龍と舎弟たちを引き連れ手嶌組の組事務所に乗り込んだ。 「手嶌、久し振りだな」 「昆さんじゃないですか。どうしたんですか」 「お前が一番よく分かっているだろう」 逃げようとした手嶌の胸ぐらを掴み睨み付けた。 「拝島はどこにいる?」 「拝島ですか?さあ~~ここ数日姿を見ていませんが……」 「この際だからはっきり言うが、久田原未知は颯人の女じゃない。龍一家の若頭のイロだ。頭のいいお前なら分かるよな?」 ギクッとする手嶌。 泣く子も黙る龍一家の若頭の名前を聞いただけで手嶌の額からは汗が吹き出した。効果覿面だ。 「動物園だ。女とガキをさらい、颯人に猫ババした組の金を耳を揃えて返させるための人質にする、そんなことを話していた」 「そうはさせない」 手を離し、橘に電話を掛けた。 「未知の居場所が分かった。拝島から未知と一太を守ってくれ」 ー分かりました。遥琉に電話を掛けさせてデートの邪魔をさせますー 颯人、兄貴の大事な未知に指一本でも触れてみろ。許さないからな。ポキポキ指を鳴らすと、手嶌の顔が青ざめた。 「手嶌、落ちたぞ」 白い包みを拾おうとしたら手嶌が慌てて拾い上げてポケットにねじ込んだ。 「な、なんでもないです」 やましいことがないなら隠す必要はないだろうに。となると、俺に見られたら非常にまずいモノか。

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