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第18話
チケット売場で橘と待合せをした。俺も橘も動物園には不釣り合いなスーツ姿。かなり浮いていたが、別に気にならなかった。
会うなり橘に双眼鏡を渡された。
「未知さんは人見知りが激しいんです」
「なるほどな。遠くから見ろってだろう?」
「くれぐれも遥琉に見付からないようにお願いしますね」
「分かってる」
園内を一望することが出来る小高い丘の上にある遊び場にさっそく移動し、滑り台の頂上から双眼鏡を片手に眼下を見下ろした。
この人混みの中から未知と一太を探すなど無理だろう。橘に一言文句を言ってやろうかとも思ったが……。
「いた!」
ものの三分と経たず俺はベビーカーを押す未知と、兄貴と仲良く手を繋ぐ一太を発見した。
写真で見るより実物は10倍、いや100倍可愛いかった。
「顔も小さいが、背も小さくないか?」
「未知さんは147センチしか身長がありませんから」
「あの人混みだ。万が一踏まれたらどうするんだ?未知がつぶれる」
「真面目な顔で何を言い出すかと思ったら………遥琉がいるんです。心配無用です」
橘にため息をつかれてしまった。
俺の心配性は昔からだ。こればかりはしょうがないだろう。
兄貴たちの後ろに何気なく視線を向けると、手嶌組の若いのが二人、兄貴たちを尾行していた。
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