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第19話

「橘、拝島を探してくれ。間違いなく兄貴たちのすぐ側にいる。橘?」 反応がなく隣を見ると、片手でスマホを弄っていた。 「心配症は誰に似たんでしょうね。未知は大丈夫かと五分おきにメールを寄越すんですよ。あ、そうだ。肝心なことを忘れていました。遼成さんから連絡が一切ない。どうなっているんだとさっきメールが来ましたよ」 「は?」 寝耳に水だった。 まさかと思いスマホを見ると、わずか三十分間に、電話が十回、メールにいたっては十五回も来ていた。 メールを送信しようと文字を入力していたら着信音が鳴った。 「今メールしようと思っていたんだ」 ー 未知は?一太は?ー 心配でいてもたってもいられない。電話越しでも不安でいっぱいな裕貴の気持ちが伝わってくるようだった。 「兄貴と仲良くうさぎがいるところに向かっている。手嶌組の若いのがいる。橘と手分けして拝島を探しているところだ」 ー何かあったら呼んでくれー 「もしかして近くにいるのか?」 ー心配で心配で何も手につかなくて。一時間前から動物園の近くにある喫茶店にいるー ようやく思い出した。裕貴の心配症は兄貴譲りだということに。 「遼成さんも裕貴さんも未知さんに過保護過ぎませんか?これでは先が思いやられます」 「橘、今日だけは反論させてくれ。そういう橘だって過保護過ぎないか?」 橘に睨まれ、ぎくっとした。

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