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第20話

「さて問題です。右のおにぎりと、左のおにぎり。どちらが未知さんが握ったおにぎりだと思いますか?」 「は?」 何を急に言い出すのかと思ったら。 じーーっと、それこそ穴が空くくらいおにぎりを見つめた。 具合が悪いのに光希がサンドイッチを作ってくれた。一つ橘にくれたら、物々交換とばかりにアルミホイルに包んだおにぎりを取り出した。 「橘のおにぎりは三角形が多い。二つとも丸い、ということは両方未知が握ったおにぎりじゃないか?」 「正解です。と言いたいところですが、右は私が一太くんと一緒に作ったお握りで、左が未知さんが作ったお握りです。両方どうぞ」 「ありがとう橘」 見た目同じで区別が付かないじゃないか、とも思ったが、片方には一太が書いたのか【い】とマジックで大きく書かれてあった。裕貴が見たら間違いなく喜ぶ。 「あんなにも幸せそうな兄貴の顔、久し振りで見たかも知れないな。でも本当にいいか?もう後戻りは出来ないぞ」 「何度も言ってますけど、私は遥琉を幸せにすることは出来ません。未知さんと一太くんならそれが出来ます。長く一緒にいすぎたのかも知れませんね」 「菱沼組の柚原だっけ?ヤツと一緒になるのか?」 「もうご存知なんですね。さすがは遼成さんですね」 橘がくすりと笑った。

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