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第21話
「7月7日。橘の誕生日に指輪を送ってくる命知らずの変わり者がいると裕貴がどこからか聞いてきたんだ。写真でしか見たことがないが、なかなかいい男じゃないか。真面目そうで、大人しそうで。でも、まさか殺し屋だとはな。人は見かけによらぬものとはまさに柚原のことだな」
「弓削さんの紹介でお会いし、二回目にお会いしたときにまさかプロポーズされるとは思いもしませんでした。遥琉より俺のほうがきみを幸せに出来る。いや、幸せにしてみせる。何年でも待つからおらの嫁こさなってくれと。頭を下げられました」
「なんて答えたんだ?」
「さぁ~~なんて答えたんでしょうね」
橘は笑って言いはぐらかし、その時はちゃんと答えてくれなかった。
「遼成さん、ご飯を食べたらペンギン舎の近くにある売店に移動しますよ」
「おぅ」
未知が握ってくれたお握りを頬張った。わかめがこれでもかと入っていてとても旨かった。
「何か緊張してきた」
「遼成さんでも緊張するんですね」
「う、五月蝿いな」
棚に並べられてあるぬいぐるみを見たとき、俺は思い出した。
「あ、そうだ。ぬいぐるみを直さないと。めぐみに怒られる。あと幼稚園に着ていくスモックにもアップリケを縫い付けないと」
目が取れたから直してとめぐみが持ってきた。主夫歴が長いから、こう見えても家事全般得意だ。裁縫も出来る。
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