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第22話

「いちた。にしゃいです」 「一太か。俺はおじちゃんの友だちの昆だ。偉いな、大きな声で自分の名前が言えて。さっきは悪かったな。悪気はなかったんだ。おじちゃんを許してくれ」 一太はめぐみと優輝より一歳年下の二歳だ。 母一人子一人。喋れない母親をたった一人で守ってきた一太。しっかり者に見えて、実はさみしがり屋で甘えん坊なのかも知れない。龍がそうだったように。 一太は自分から手を繋いできた。 店に入ると、予想通り裕貴が待ち構えていた。三分と待てない性格の裕貴。大人しく待つなんて出来るわけない。 「あ、しーおじちゃんだ!」 「おぅ、一太。おじちゃんのことを覚えてくれていたのか?しーじゃなくてひろおじちゃんだけど、まっいっか」 裕貴の強面の顔が緩みっぱなしになった。 「どういうことだ?説明しろ」 「兄貴が自分の伜として一太を上総さんと幹部連中に引き合わせた。俺もそのとき居合わせたんだ。遼成さんすみません。言うのが遅くなって」 ごほん、橘がわざとらしく咳払いをした。 子どもの前で喧嘩をするなってだろう。分かっているよ、そのくらい。 一太が真っ直ぐ向かったのはペンギンのぬいぐるみが並ぶ棚だった。大中小サイズのがたくさん並べてあった。

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