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第25話
兄貴と未知と一太を見送ったあと、橘と裕貴が首を長くして待っている売店に急いで戻ろうとしたら、
「なにやってんだお前は」
裕貴が物陰に隠れて、スマホで未知と一太の写真を何枚も撮影していた。
「だってさぁ、かわいいんだぞ。一瞬だって見逃したくないだろう?あとで遼成さんにも写真を送っておくよ」
橘に妹の写真を撮るのは今だ、そう唆されたか。
裕貴は未知のワードに弱い。いちころだ。今からこれでは先が思いやられる。参ったな。
売店でめぐみと優輝が欲しいと言っていた魚がたくさん書かれたハンカチと塗り絵帳を探す俺の隣で、裕貴は、ペンギン柄のタオルハンカチや、からからと音の鳴る柔らかい布のボールやがらがらをせっせとかごの中に入れていた。
気が早くないですか?橘に苦笑いをされていたが選ぶのに夢中で裕貴の耳には一切入っていなかった。
裕貴には見えていたのかも知れない。
かわいい妹と、大勢の甥っ子、姪っ子に囲まれた幸せな未来の姿が。
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