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第26話
千里に呼び出され本部に顔を出すと、先に到着していた裕貴がニヤニヤしながらスマホの画面を眺めていた。
「裕貴」
話し掛けたが返答なし。よく見るとイヤホンを耳につけていた。
「おぃ、裕貴」
肩をぽんぽんと叩くと、
「り、遼成さん」
驚いたような声をあげて片方のイヤホンを耳から外した。
「さてはエロ動画でも見ていたか?」
「それは遼成さんと龍成だろう?一緒にしないでくれ」
「今は一切見てないぞ。興味もない」
「今は?」
「どうでもいいだろう。そんなこと」
裕貴、頼むからこれ以上俺に変なことを言わせんな。内心ヒヤヒヤした。
「ちょうど良かった。遼成さんにいいものを聞かせてやる」
「いいもの?」
イヤホンを渡され、右耳にはめた。
ーひろお兄ちゃん、ずっと前から僕と一太を見守ってくれてありがとう。全然気付かなくてごめんなさい。ひろお兄ちゃんに千里お姉ちゃんに蒼生お兄ちゃん。たくさんのお兄ちゃんとお姉ちゃんがいる僕は幸せ者だねー
聞こえてきたのは未知の声だった。泣いているみたいだった。
「裕貴、お前は未知のストーカーか?」
「ストーカーじゃない。離れて暮らす妹のことが心配なだけの過保護な兄だ。聞いたか?未知が俺のことをお兄ちゃんって呼んでくれたんだぞ」
「裕貴、もしかして喧嘩を売ってるのか?」
「なんでそうなる?」
「だって、俺だって………」
裕貴に言ってもはじまらないからぐっと堪えた。
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