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第17話

数週間も経つと、年長のオメガ達と過ごせたからか、オメガであることを受けいれる、若いオメガ達も出てくる。 まだ1年もすぎてないオメガ達はアルファを怖がり逃げるが、先輩のオメガ達には懐く。 先輩のオメガ達も、番のアルファの邪魔が入らない限り、幼いオメガ達に優しかった。 そして、教えてくれる。 アルファがオメガにとって何なのか、を。 「セックスが良いよね、なにより。あのデカイので貫かれるのはたまんない」 あけすけに先輩は教えてくれる。 「どうせ、オメガ同士でやり合いっこしてるんだろうけど、そんなの比べものにならないからな」 先輩はニヤニヤ笑って言った。 若いオメガ達が疼く身体を互いに慰め合うようになるのは恒例らしい。 オメガ達は真っ赤になる。 互いの身体を弄り合うのは流行ってた。 ヒートはカプセルを埋められることで止められているが、それでもオメガの身体は性的な快楽を求めてしまう。 自分でするより他人とするのが「いい」と若いオメガ達が気付くのは仕方ないことなのかもしれない。 ミサキはユキ先生がいいからしてなかったけれど。 オメガ同士でペニスや孔を弄り合うのは気持ち良いらしい。 でも、ミサキはそれが嫌だったのだ、なんとなく。 ユキ先生はこの学園に来てからはしてくれないけれど。 「アルファを見つけなさい。早いと思うかもしれないけど、早く見つけた方が身体のためには良いんだ。カプセルは・・・強すぎる薬だし、なにより、アルファを得た方がオメガは生きやすくなる」 先生はそう言う。 「ヒートが始まったら、オメガはアルファ無しでは耐えられない」 先生は脅した。 番を得てなくても、20歳になればカプセルは取り除かれる。 そして訪れたヒートにアルファがいないオメガは苦しむのだ。 アルファに中で出して貰えないと、オメガは収まらないからだ。 抑制剤は強い睡眠薬のようなモノしかなく、地獄の数日間を過ごすことになる。 番無しのヒートを迎えたオメガは、ほぼ全員が慌てて次のヒートまでにアルファを得ようとするようになる。 アルファが必要だと思い知るから。 だから。 まだカプセルがある、学生時代の数年以内に捜せ、とユキ先生は言う。 次のヒートに怯えて慌てて探す前に。 学園のアルファが嫌なら、お見合い制度もある。 でも。 「アルファはみんな同じだよ。なら、近くでより扱いやすいアルファを見つけた方がいい」 醒めた目で先輩は言った。 「それに学園内でみつけたら、毎日出来るし。本当にアルファのアレは気持ち良いよ」 先輩はいやらしく笑った。 幼いオメガ達はその後の、アルファとするのがどんなに気持ち良いのかの、具体的な話に夢中になったけれど、ミサキは先輩の醒めた目の方が気になった。 誰でも、同じ。 どういうことなんだろう。 それに、ふと思った。 大人のオメガには「必ず」ヒートが来る。 数ヶ月ごとの発情期。 つまり、ユキ先生にも。 でも。 ユキ先生には番はいない。 番のいないオメガは。 番を失ったオメガは。 どうやって発情期を耐えるのか。 一度番を作ったなら、他の誰とも番になれないのがオメガなのに。 ぼんやりしているミサキの耳に声が聞こえる。 「強いアルファを選ぶんだ。何より、アルファに死なれたら困るのはオメガだからね」 先輩がエロトークの後で、真顔で言ってい た。 そう。 番が死んだら、オメガはどうなるの? ミサキは不安になった。 でも、話はそこで終わり、まだ番のいないアルファ達の話になった。 オメガ達には自分の番候補だ。 そして、その話の中で、何度も何度も出てきたのがアキラの名前だった。 ミサキに執着する、あのアルファの。

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