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第40話

金色の目がミサキを焼き尽くす。 ミサキは首を振って「嫌だ」と叫ぶ。 だが アキラは止まってくれない。 ベータの大人より遥かに大きな身体が、まだ15歳のミサキの華奢な身体の上にのしかかり、ミサキは身動きがとれない。 アキラはアルファの中でも特別に大きい。 2メートルはある身体を筋肉で覆っている。 アルファの筋力はベータのそれを遥かに凌駕する。 アルファが恐ろしいから誰も口にしないが、そう、アルファは人間ではない。 化け物だ 人間がある日突然転化した。 そのシステムはわかってないし、少年がある日化け物になる、その条件もわかってない。 ただ、わかっているのは、ある日どこかの少年が突然化け物になり、支配者になる、それだけだ。 そして、その化け物は自分の番を求める。 それも、ある日突然少年が変化してなるオメガという生き物を。 アルファとオメガは。 引きつけ合う。 地球が月を離さないように。 月が地球から離れないように。 ミサキはアキラの体温を感じる。 服の上からなのに、その熱さに悲鳴をあげた。 何故ならその熱は淫らにミサキの身体の奥を濡らしたからだ。 アキラの匂い。 あの甘くて不安になって、それでも手を伸ばしたくなるあの匂いがミサキを包む。 「甘い・・・」 でもそう言ったのはアキラだった。 苦しげに金色の目が細められたけれど、その目の熱は消えることはない その掠れた声にミサキはビクンと震えてしまった。 ミサキの中から滴ったのだ。 濡れて、欲しがり疼いていた。 長くアルファを与えられなかった身体が、欲しい欲しいと泣いていた。 「嫌、アキラ!!」 ミサキは言うが、ミサキの声も掠れている。 熱くのしかかるアキラの身体に無意識に下半身を擦り付けていることに気付かない。 でもアキラは気付く。 そして呻く。 ミサキの腕を片手で上でまとめておさえつけ、もう片方の手でミサキの頬を撫でた。 その大きな指は震えていて。 熱くて。 こんな場面に似つかわしくないほど、優しかった。 「可愛い・・・」 低い、深い声。 優しく唇を撫でる指。 指でキスするかのように、何度も触れる。 「ヤだ!!嫌!!嫌!!」 ミサキは叫んで、その指を噛んだ。 血が滲むほど強く。 でも。 血が滲む以上は無理だった。 身体の構造が違う。 ナイフで刺したところで、アルファには効かないのだ。 だけど、傷付いた顔をアキラはした。 噛まれる以上の痛みがその目にはある。 「なんで・・・シンは良いんだ!!!」 アキラは吠えた。 その激しい感情をぶつけれられ、ミサキの精神は吹き飛ばされそうになる。 オメガはアルファの感情、いや、その気配のようなものを感じ取るから。 怒りとそれ以上の悲しみがあった。 ミサキはその激しさに当てられ、ガクガクと震えた。 涙がこぼれる。 怖い。 なのに。 ミサキの奥はズクズクと疼いていた 匂い。 熱。 欲望。 ミサキの肌も熱くなる。 アキラはミサキの頭をヨコに向けて、その首筋を確かめた。 項に跡がないかを見たのだとわかった。 「番」にされていないかを。 ミサキの項は真っ白だった。 それにアキラが安堵してため息をついたのがわかる。 ミサキは震えていた。 怖くてたまらない。 大きな大きなアルファに組み敷かれている。 アキラがどうしたいかなんて、ずっとわかっていた。 「オレのだ。シンなんかに渡してたまるか!!」 アキラが唸った。 項を何度も撫でている。 その執拗さに恐怖はさらに増す。 「お願い・・・やめて。お願い・・・」 ミサキは懇願する。 それだけは嫌。 それだけは!! 無理やりアルファがオメガを番にするようなことはほとんどない。 オメガのヒートでアルファも理性を失わない限りは。 アルファがオメガの同意を引き出すために何でもしたとしても。 そう、普通、はないのだ。 でも。 オメガへの執着を押さえつけて、沢山のオメガとセックスするシンのような壊れたアルファもいるし、アキラはアルファの本能を抑える抑制剤を使用しているアルファで、普通のアルファではない。 だから。 ミサキの頭には最悪の可能性が浮かぶ。 咬まれる。 咬まれてしまう。 それは嫌。 嫌だ!!! ミサキは恐ろしさに震えた。 「お願い、お願い、お願い・・・」 泣きながら懇願した。 だが、アキラは止めようとしない。 いや、止まらない。 止めようとする素振りを何度かみせたが、それでも飢えた獣のように項に顔を近付けていく。 「やめて・・・嫌だぁ・・・」 ミサキは声を震わせて泣く。 アキラは口を開いた。 真っ赤な口の中と鋭い歯が見える。 獣なのだ。 熱い息がする。 ハァハァというその息と、分厚く長い舌がゆっくりとミサキの首筋を舐め始めた。 ひうっ ひいっ ミサキはその舌に身体を震わせてしまう。 舐められたら気持ち良いなんて、知らなかった。 でも、 絶望が。 絶望が。 ぺちゃ ぺちゃ でも舐められる度に身体は震えてしまう。 肌の下にある甘い場所が溶けていく。 それは奥をさらに疼かせ、身体を蕩けさせる。 でも、牙が牙が、その首に突き立てられたなら、ミサキは生涯囚われてしまう。 その恐怖に涙が止まらず、嗚咽する。 「シンなんかにぃ!!!!!渡してたまるか!!!」 獣が吠えた。 獣の腕の中で喰らわれているのだミサキは理解した。 ミサキにあるのは、知りたくなかった怖い程の快楽と絶望だった。

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