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第52話
シンがアキラを見かけることは減っていた。
アキラは絶対にミサキの見える場所にはいないからだ。
ミサキと仲良くなればアキラは見えなくなることはまあ、当然だった。
アキラはミサキの前には姿を表わせないのだから。
アキラが学校からいないのは(正しくはいないように見える)のは大した問題ではなかった。
アキラ達この学園のアルファはオメガ達と違って、単位もなければ校則もない。
基本的に学園内に留まってさえいれば、何をしていても卒業出来るのだ。
アキラはミサキから離れないので見えないようでも、学園にいるのでそれでいい。
元々アルファに教育などいらないのだ。
アルファになった時点で、全てのアルファが知識を共有している。
その仕組みがどうなっているのかは分からないが。
まだアルファになったばかりのアルファを18歳まで学園に集める理由は、アルファになったばかりの身体でベータを傷つけないため、と言われているが、本当のところは何なのか誰も知らない。
番のオメガを見つけることは理由の1つだろうけれど。
アキラはミサキから見えなくなることに全力を尽くしていた、が。
ミサキを他のアルファから護ることにも全力を尽くしていた。
アキラは相変わらずこの学園最高位のアルファであり、その影響力は大きく、ミサキに手を出すアルファはいなかった。
もう皆がアキラがミサキを犯したことを知っていればこそ。
まあ、オメガから自分が見えないように隠れてまわるというのはアルファらしくなく、これがアキラでなければアルファ達は笑っただろう。
一度同意を得て抱いたのなら、もっともっと抱いて抱いて、身体から落としていけば、「番」になることを承諾する、とアルファ達は知っているからだ。
だけど、アキラを笑うアルファはいない。
アキラの恐ろしさをアルファ達は知っているからだ。
アルファは。
ベータのように自分の力を見誤らないし、相手をナメたりもしない。
アキラに挑む時にはそれなりの準備と覚悟がいる、と知っているからだ。
高位のアルファとのやり合いは、当然生命のやり取りになる可能性もある。
笑うところはどこにもない。
だから、アキラとミサキの奇妙なかくれんぼを、笑っているアルファはシンだけだった。
そう、何故かシンにはアキラは手を出さないからだ。
何故か。
アルファ達も不思議がった。
ミサキにあんなに近寄っているのに。
他のアルファなら絶対にアキラは許さないのに。
が、当の本人のシンはその理由を知っていた。
「よぉ、アキラ。何の用だ。オレは見てのとおり忙しいんだけど」
シンは唇を歪めて笑った。
幼いオメガで楽しんでる最中に現れたアキラに。
そう言いながら身体の下で幼いオメガが自分を締め付けてくる感覚を楽しむ。
オメガはもう目を見開き、ヨダレを垂らしていて、アキラの存在などどうでも良さそうだ。
「お前が逃げずに話しが出来きるのは今しかないだろう」
アキラが渋い顔で言う。
シンは笑った。
その顔が面白かったのと、確かにシンはアキラから逃げていたからだ。
面白くもない話に付き合う理由もないからだ。
シンが笑った身体の揺れに、深くまで咥えこまされたオメガが痙攣する。
シンはオメガの脚を肩にかけて、その小さな尻を立てる。
シンはさらに深く。
子宮へ道を犯す。
ここで出すのが一番満足するのだ。
そこで動いてやると、オメガは激しく痙攣した。
シンも呻く。
ここで出したくてたまらない。
アキラのことは、とりあえず気にしないで続けることにする。
「ミサキにこれ以上嫌われたくないなら、オレのことは放っておけよ」
シンはそれだけを言った。
シンにはアキラもミサキも。
どうでもいい。
ミサキは確かに面白いオメガだし、オメガじゃなくても気に入ってはいる。
だが、シンが一番気にするべきことは他にある。
シンは恋人のこと以外はどうでもいい。
アキラが何を言ってもどうでもいい。
それでもいいなら何でも話せばいい。
オメガを犯すのが優先でなら聞いてやろう。
シンはそれを態度でしめしていた。
シンも呻きながら、オメガのそこを楽しんでいた。
「ミサキを・・・お前の番にしないか」
だが。
聞こえた言葉に驚きすぎて、優先すべきオメガの孔より、アキラの言葉に意識がいってしまった。
「はぁ?」
思わず振り返ったシンの目に、苦く歪んだアキラの顔が映った。
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