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第58話
イったばかりで敏感な身体をさらに責められるのはたまらなく気持ち良かった。
ミサキはヨダレを垂れ流しそれを受け入れた。
シンは歯を立てて乳首に痛みを与えると、優しく舐めて癒し、それを吸ってさらに甘さを与えてくる。
ペニスを弄られるのとおなじくらいそこは、性器に変えられていた。
シンが変えたことに、シンへの気持ちがあるからこそ、ミサキは悦びまた、それに溺れてしまう。
だけどどんなに気持ちいい良くても。
シンはミサキの孔には触れようともしない。
アルファがオメガを喰うにはあまりにも優しすぎる行為だった。
アルファはもっと、飢えたようにオメガを喰う。
そしてこんな優しいだけではオメガも飢える。
ミサキは焦れる、胸だけでイカされ、今も泣きわめき感じてはいても、そこだけではたりない。
お願いお願い
泣いて叫んでもシンは胸しかいじらない。
唇にどんなにミサキの乳首が甘く美味くても、シンだってそこだけではたりないはずなのに。
ミサキは泣きながら自分で孔と擬似ペニスを弄りだす。
ミサキの桃色のペニスは出したはずなのにまだ足りないとひくついてそそり立っていたし、孔はもう焦れすぎて中から痙攣していた。
ミサキはいやらしく熟れたオメガだった。
なのに。
「なんでそんな顔すんの、キョウちゃん」
低い声でシンは言う。
シンにはそれ以上に欲しいものがあった。
飢えたアルファが熟れたオメガより、欲しいものなどないはずなのに。
シンはミサキをみてはいない。
指で執拗にミサキの乳首を潰しては擦り上げ、指先で弾いたりするのを楽しんでいるくせに。
その声に喜悦があるのをミサキは気付いてしまう。
シンは喜んでいた。
ベータの少年が傷ついた顔でシンがミサキを感じさせるのを見ているからだ。
少年が傷付いてくれることを、シンは望んでいたからだ。
シンの手が散漫になる。
先程まで、オメガの身体を欲しがっていた指が。
おざなりになる。
ミサキは焦れて泣き、自分の指で中を激しく弄り声をあげ、でも辛くて泣いた。
アルファがオメガを抱いてるのに、他の事が気になるなんて。
そんな。
そんな。
シンの少年への執着は、アルファのオメガへの執着を超えるものなのだと思い知らされる。
「キョウちゃん、いいの?オレミサキを番にしちゃっても。オレのをミサキに挿れて、項をかんじゃうよ?」
シンの言葉は残酷だった。
ミサキの身体はその言葉に反応した。
挿れられて、項を噛まれて、番にされる。
その言葉だけで、ミサキはまたイった。
それは。
ミサキがずっと望んでいたことだったから。
シンがミサキを触る手はもうぞんざいで、シンの目は痛い程少年だけを見てるのに。
そんなシンの身体の下で、ミサキはシンの虚構の言葉でイった。
惨めすぎた。
あまりにも。
のたうつミサキを見下ろすシンの目は醒めていた。
シンは。
シンは。
少年の傷付いた目にこそ、欲しいモノをみつけたのだ。
酷い。
酷い。
シンは。
少年に気付かせたかっただけなのだ。
少年がシンをミサキに渡したくないと思っていることを。
ミサキの心はきしみ、砕けて。
でも身体はいつわりの言葉に反応し、深い底のような快楽に投げ込まれた。
「いいの?キョウちゃん」
そう言いながら、身体の下のミサキを撫で上げるシンの手はもう、その熱を失っていて。
達しながら叫ぶミサキの声は。
どこまでも虚ろだった。
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