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第68話
定期的にある、オメガの学生のためのユキ先生のカウンセリングには流石にアキラはついて来なかった。
が、カウンセリングに行く前には沢山犯された。
ユキ先生がミサキの処理をしてくれていたことを知ってるのだ、とミサキは背筋が寒くなった。
それが分かる執拗さがアキラにはあった。
ユキ先生の優しい指とは比べ物にならない、アキラの大きな指で孔はたっぷり弄られた。
先生の感覚をこそげ落とすかのように、指だけで何度も責められた。
ぺニスで責められるのとは違った、指の先まで使ったピンポイントの責めは、逃げられないような鋭さでミサキを追い詰めた。
その上、これが好きだろうと、孔を舌で舐められ、孔の中まで舐められて。
ミサキの身体をアキラが一番知り尽くしているのだ、と思わさせられた。
散々責められ、もう大きなアキラので中を満たして欲しくても許されなかった。
お願い挿れて、とどんなに言っても許されなかった。
いつもならアキラはミサキが欲しがればなんでもするのに。
それは乳首への責めと似ていて、誰かが触れた事への嫉妬なのがわかってしまう。
もう、ユキ先生の優しい指を思い出せなくされてしまった。
アキラの無骨な指の感触だけしか残らないように身体に教え込まされて。
ミサキの身体はアキラに全て書き換えられていた。
もちろん、散々焦らされ泣かされた後、ぺニスで中を蹂躙され、何度も出された。
それをミサキは確かに喜んだ。
先生の名前を呼んでした、あのオナニーも今では出来ない。
アキラがそんなの許さない。
最後は何度も注ぎ込まれて、乳首もぺニスも虐められ、やっと解放されてフラフラになった身体で、ユキ先生のカウンセリングを受けた。
先生はミサキを見ると悲しそうな顔をした。
アキラがこれみよがしにみおるところにつけた跡や、ミサキの上気した顔から何があったのかすぐにわかったのだ。
「あんのバカ!!」
先生はその場にいないアキラを罵った。
この学園で唯一アルファを怒鳴れるのはユキ先生だけだ。
何故かアルファ達もユキ先生には従うのだ。
「大丈夫?」
先生が心配しているのはミサキの身体のことではない。
オメガは身体の耐久性ではアルファを遙かに凌駕する。
アルファとの性行為でオメガが壊れることはない。
オメガの身体の強さはアルファ以上なのだ。か
だが、心、は別だ。
オメガの自殺率は高い。
オメガだと発覚した頃が一番多く、貴重なオメガを守るためにユキ先生のようなカウンセラーが存在するのだが、番を得る過程、得た直後も実は自殺者が多くなる。
アルファのための生き物でしかないと実感させられ、アルファから逃れる唯一の方法だと、隙をみて自殺するのだ。
だからこそ、アキラはユキ先生のカウンセリングにミサキを行かせる。
本来は二人きりで会わせたくもないはずだが。
ミサキにはユキ先生が必要だから。
アキラはミサキを失うことを恐れている。
だから、本来は認めたくないカウンセリングも認める。
「ミサキ、泣いていいんだよ」
ユキ先生が言った。
ミサキは首を振った。
もう、涙なんか出ない。
「・・・ミサキ。番にされてもミサキはミサキだよ。オメガである事がミサキじゃない。ちゃんと自分として生きるんだ。アルファに踏み込ませない場所をミサキはずっとつくり続けてきただろう?」
ユキ先生がミサキの手を握り言った。
「オレ、らしく?」
ミサキは繰り返す。
アキラに犯される毎日で、どこか歪み始めていた感覚に気付く。
そう、ミサキはミサキとして生きていこうとずっとしていた。
オメガではなく。
それはこれからもだ。
アキラにそれを譲らせることなんか出来ない。
「身体のことは仕方ない。ヒートがきてしまえば番がいる方が面倒がない。番になってしまったのだから、そこは利用した方がいい」
ユキ先生の言葉はまだ分からなかった。
ヒートとは。
嫌いな男でも「番」がいた方がマシと言わせるものなのか。
ミサキは怯えた。
「ヒートは酷い。オメガの意志をオメガの身体が踏み躙る。だけどミサキ。それはミサキのせいじゃない。アルファを求めてしまっても何も悪くない。ミサキ、でもそれ以外にミサキの人生はある。ミサキはミサキとして生きて。オメガではなく」
ユキ先生の言葉はミサキに届いたが、番を失ったユキ先生がどうやって生きて、どうやってヒートを耐えているのかを、まだミサキは知らなかったから。
「番」がいる方がマシだという言葉の意味は分からなかった。
その意味が少しわかったのは。
始めてヒートがきた日のことだった。
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