70 / 122

第70話

「 気持ちいいよ、先生。たまんない」 シンが笑った。 シンは全く悪びれていない。 シンは恋人のベータを殺すようなことになるくらいなら、オメガで【処理】して何が悪いと思っているのだ。 オメガの身体を楽しむことにも何の躊躇いもない。 「 クソガキ!!」 ユキ先生が罵った。 だが、シンはユキ先生の身体をよく知っているらしく、狙った場所を擦りあげるとユキ先生は痙攣して、高い声をあげる。 気持ちいい そこぉ そこがすきい 先生の声がだらしなく甘い。 「 ああオメガは美味いな、特に先生は美味い。 孔は気持ち良いのに、顔はこんなだし、 先生は醜いからいい。 この顔がいい」 シンはユキ先生の醜い顔を舐めながら言う。 美しい側ではなく、焼け爛れた側をみつめながら、嬉々として、腰を使い孔をシンは味わう。 ミサキはゾッとした。 ミサキには先生の焼けた側の顔も、大好きなユキ先生の顔だけど、シンには違う。 シンは。 オメガに執着しないために、ユキ先生の顔を使ってる。 アルファは抱いたオメガに執着してしまう。 番じゃなくてもだ。 アルファの執着はアルファを引き裂くもので、アルファが番以外に目を向けないのは、本能的にその危険を知ってるからだ。 番を手に入れるまで処理用のオメガを使うことがアルファもある。 その場合は、アルファ達は出来る限りそのオメガに執着しないように工夫する、というのはしってた。 シンが広く浅くオメガを抱いていたのも、執着を避けるためだった。 関係が深まれば、執着が生まれるからだ。 でも、今。 焼け爛れたユキ先生の顔を見ることで、孔として使ってると実感する方法で、シンはオメガへ執着しないようにしてるのだ。 酷い。 酷すぎた。 「先生の孔は良いね。どんなに酷くしても、大丈夫だし、壊れないし、気持ちいい」 シンの突き上げは、エグるようで、自分本位で、でも、オメガがそうされたいと思うものだった。 「死ね・・・ゲスが!!」 先生は罵ったけれど、シンの行為に悦んでいた。 ん シンはアキラがミサキにするように、よく知った身体の良い場所を選んで執拗に責める。 分かっているからの動きだ。 何度も何度もしたからこその。 いいっ いいっ 先生は叫び、シンも唸り声をあげる。 アルファとオメガの獣のようなセックス。 ミサキがよくしっているそれ。 「先生、オレとするのは好きなくせに。オレも先生がいいよ。孔は最高だし、気を使わなくてもいい。オレだって同じ学生のオメガを傷つけたいわけじゃない。やっぱり、子供相手だと割り切ってくれないじゃない?その点先生は割り切っていて、アルファが大嫌いだからいい。それにこれは先生のオシゴトだよね?番のいない学生のアルファの処理が」 シンの言葉。 先生の仕事。 先生は番のいないオメガ。 そういうオメガの多くがどういう仕事につかのか、ミサキも知っていたはずなのに。 少なくとも先生とシンは何度も身体を重ねているのが分かった。 シンは簡単に自分の好きな所を見つけ出し、そこで好きなように動いているし、先生の孔はシンのカタチをおぼえていて、それに纏わりついてるからこそ、あんなに感じている。 良く知り尽くした者同士がするセックスだ。 ミサキとアキラがするような。 「番がいないと可哀想だねぇ・・・相手してくれるアルファを探さなきゃいけないから、こういうオシゴトしないとね」 可哀想可哀想と、どうでも良さそうにシンは言った。 美しい側の顔を髪で隠し、赤く引きつれた火傷の跡、引きつって半分閉じたような目の周りをシンは舐めて、その凹凸を確認する。 そうしらながら、心ゆくまで孔の中で動き、呻く。 気持ちいいのだとわかる。 シンは夢中で動いている。 「先生は最高。孔もいいし、反応も良いし、なのにこれは単なる【処理】なんだって確認させてくれるこの顔が最高」 シンの酷さにミサキは絶句した。 アルファは番でなくても抱いたオメガに執着を持ちがちだ。 それはアルファの精神を病ませることがある。 アルファの執着は凄まじいからだ。 それを抑制するために、シンは先生の醜さを利用していた。 これは処理だと、確認しているのだ。 「先生、キョウちゃんには可哀想だから絶対に出来ないことさせてね。ああ、キョウちゃんにはこんな酷いこと出来ない・・・気持ちいい・・・」 シンはオメガに向けてだけできる、アルファの激しい突き上げを始め、それに狂っていた。 ベータの恋人なら一突きで腹が裂けるようなソレを、夢中になって繰り返す。 「キョウちゃん大好き・・・ああ、こんなことキョウちゃんには出来ない・・・くそ、たまんねぇ・・・!!オメガの孔はこれだから・・・くそっ!!いいな!!」 シンが喚く 「クソアルファ!!クソガキ!!・・・ああっ、もっとお!!!中で出してぇ!!もっとぉ!!」 先生が叫ぶ。 ミサキは庭からそれを真っ青な顔をして見ていた。 それは。 ミサキからは歪んだ恐ろしいものでしかなかった。 先生の醜ささえ利用するシンのアルファのエゴイズム。 そんなシンとでもセックスして、欲しがるユキ先生のオメガである淫らさ。 そして、ミサキは逃げだした。 走って逃げて。 そして。 その時。 それが訪れたのだった。

ともだちにシェアしよう!