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第71話

ユキ先生の家から逃げ出し、もう少しで寮にたどり着く前だった。 ミサキの身体はずっと朝から重く怠かったが、それは違った。 明らかな異変が起こった。 ビクン。 走っていたミサキの身体が突然痙攣した。 ミサキは寮へと続く土の道の上で転倒した。 地面に転がり仰向けになる。 ミサキはヒクンヒクンと身体を痙攣させた。 そう、アキラにぶち込まれて何度もイカされている時みたいに。 ただ走っていただけだったのに。 ミサキの擬似ペニスがガチガチに勃起して、制服のズボンを持ち上げていた。 弄られてもいないのに、ミサキの乳首は硬く凝り、尖っていた。 孔はアキラに指や舌で散々責められた時みたいにヒクヒクしながら、そこから涎を垂らしているのがわかる。 ヒートだ。 それはすぐに分かった。 何度も何度もイカされて、焦れきった状態に一瞬でなってしまったから。 でも、セックスのその時以上の辛さがあった。 飢え、だ。 快楽に狂って欲しがるのとはもっと違う根源的な、飢え。 いや、乾き。 何日も水をのんでいないかのような。 アルファが欲しかった。 とにかくアルファが。 中に注いで欲しかった。 ミサキはお腹をさすった。 ここに沢山、沢山、欲しい、 いっばい出されて、掻き出されて、また出して欲しい。 そうとしか思えなかった。 いつもそうされて感じてしまっても、それに嫌悪があったはずなのに。 だが、まだミサキには少し理性があり、這うようにして道から逸れて、林の中に逃げ込んだ。 ミサキの匂いに気付くのは番のアキラだけだが、この状態のミサキを番のいないアルファが見たら、ミサキに性行為を迫る可能性はあり、そうなったならミサキは断れないだろう。 飢えて乾いていたから。 人の番に手を出すことは、アルファの中では禁忌だし、確実にそれは番と相手のアルファと殺し合いになるが、それでも、だ。 そのオメガを自分だけのものにするのはアルファ達の中では有りなのだ。 実質上の番にすることは。 そういうことは無いわけではなく、他人の番を奪いとるアルファもいないわけではない。 とても少ない例だが。 奪いとっても、子供を産ませることは出来ないし、アルファはそのオメガの「番」にはなれないが、そういうカップルもいるのだ。 その場合、元の番のアルファは確実に殺されているのだけど。 オメガの拒絶がないならそれはそれで黙認されている。 アルファに関しては一対一の闘いなら、殺されるアルファの方が悪いというのが、アルファ達の考え方なのだ。 だが、そこにはまた違う地獄がある。 殺した番に嫉妬しながら、オメガへの執着を拗らせらるアルファからの地獄が。 執着と嫉妬は同じ場所にある。 永遠に番になれないオメガへアルファの感情は拗れていくし、番でなければアルファの精神の安定はえられない。 不安定なアルファとの生活など、地獄でしかない。 ミサキはそんなのゴメンだった。 地獄はもうこれ以上いらない。 でも林の中に隠れるのが精一杯だった。 ミサキは木陰で泣きながらズボンをおろし、孔に指を入れて弄り始めた。 こんなのでは治まらないとわかっているのに。 アキラ、 アキラ、 ミサキは泣いてその名前を呼んだ。 アキラしか。 今のミサキを助けられないと分かっていたから。 孔を執拗に弄るミサキ。 シャツを捲り上げ、乳首が擦れて感じてしまうのでつかうしかないオメガ用の男性用ブラジャーも捲り上げた。 昨夜アキラがあちこちにつけた跡のある身体が、捲り上げた服の隙間から見える。 ミサキは自分でアキラに毎日吸われている乳首を指先で捏ねながら、孔を弄る。 触ってもないペニスからすぐに精液が吹き出すが、当然そんなものでは治まるはずがなく。 ミサキは泣いてその名前を呼んだ。 アキラ アキラ その名前しかなかったから。

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