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第86話

「オレはシンを止められなくて・・・ごめんなさい。ごめんなさい。謝ってすむことじゃないけど、ごめんなさい・・・」 ベータは必死でミサキに向かって謝り始めた。 「今さら何だ、とおもうよね。その通りだ。ちゃんと謝りに行かなきゃ行けなかったし、何よりシンが君にしたことを謝罪して、償うべきだった。オレもシンをそのままにしてしまった・・・オレは。オレは・・・」 ベータの声は苦しげで、辛そうで。 ミサキは目を丸くした。 謝られている。 ミサキはちゃんと謝られたことなどなかった。 シンもアキラも。 謝ってなどくれてない。 あれほどミサキを傷つけたくせに。 でも。 このベータだけはミサキに謝っている。 「ごめんなさい。ごめんなさい」 ベータの声は切実で。 その言葉が口だけではないとわかる。 潤んだ目に毒気を抜かれる。 ミサキは笑ってしまった。 「アルファと付き合うベータなんてぶっ壊れた奴しかいないと思ってたけど、アンタまともだな」 心から言った。 だからゆるすとは思わないけど。 ここからはミサキのターンだからそうするけど。 ミサキはベータに好感を持った。 その方が。 楽しく抱ける。 嫌な男とするよりはずっといい。 だから傷つけることにした。 まずはそこからだ。 ミサキはシンのように隠し事ではなく、真実で傷つける。 「まあ、あの時のことはいいよ。シンはたしかに最低だけど、アルファなんてそんなもんだ。でも、アンタ、シンがオレだけにあんなことしてたと思ってるの?あの学園にはオレだけじゃない沢山のオメガがいて、オメガ達もシンを欲しがっていたんだよ?ねぇ、なんでシンがアンタ以外に触れてなかったと思うの?アンタみたいなベータで満足できると?」 ミサキは自分のシャツのボタンを上のから2つほど外して、白い胸元を見せつけてやる。 そこにはアキラが吸って残した跡があるだろう。 それは元々は抱く側であるこのベータの本能を刺激すると同時に、アルファが求めるのはオメガであることも思い出すだろう。 ベータは言葉を失い、真っ青になる。 シンがミサキをイカせていたことを思い出し、そしてそれを他のオメガにしていた可能性にやっと思い至ったのだろう。 「シンはオレみたいに年上のオメガより、新入生のまだ子供でしかないオメガが大好きだったよ」 ゆっくり近づき、吐息を吹きかけるように顔を近づけ囁いてやる。 「何にも知らないオメガの身体に最初にぶち込むのが大好きなんだよ、シンは。アンタに初めて教える時もおお喜びしてたでしょ?」 意地悪を含ませる。 シンがこのベータに触れる時と、幼いオメガを犯す時はその扱いに雲泥の差があるのをミサキは知ってるが、このベータは知らない。 それに幼いベータばかりシンが喰っていたのは間違いない。 同級生はほぼ全員喰ってたんじゃないか? シンの同級生のアルファ達はシンを憎んでいる。 自分達のオメガを次々食い散らかしたからだ。 その結果、アルファ同士の戦いはまずはシンへ向けられ、そのアルファ達は逆にシンにやられて、今は誰一人存在してない。 アルファ同士の戦いは昔の時代ほど直接的なものではなく、ビジネス等を含んだものになっているけれど、「存在を消すまで」 やり合うのもアルファ式だ。 そういない。 この世界のどこにも。 そしてそれは同時に、そんなアルファ達の番になったオメガ達も消え去ることになっていた。 アルファはオメガを連れて行くから。 そう。 シンが抱いたオメガ達は消えていってる。 番になったアルファと共に。 最後までしてなかったとはいえ、ミサキもアキラというシンと同じ位強いアルファの番でなければ、きえていたかもしれない。 それは恐ろしい話だとミサキは思っている、が。 ミサキはそこまではこのベータに言わなかった。 ミサキは優しい。 傷つけるとしても。 幼いオメガを犯してまわって、綺麗なフリをして、このベータに触ってたことだけでも十分だ。 ほら、ミサキより優しいベータは今、嫌悪と苦痛を浮かべている。 ベータには11歳のオメガは子供でしかない。 それをシンも11歳だったと言え(外見は大人)犯していたのは認められないだろう。 まともで優しいベータ。 可哀想なベータ。 シンなんかに捕まった可哀想なベータ。 慰めてあげる。 ミサキはそう思った

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