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第87話
ベータの動揺の仕方は哀れな程で、その様子にミサキは残酷な満足をおぼえた。
ベータは目を泳がせ、うるませ、両の手を握りしめている。
ミサキはそっとその握りしめていた手へと手をのばす。
そして、ミサキの両手で繋ぐように握りこんでやった。
細いミサキの指よりはずっと男らしい指で。
ゆっくりとその指を撫で上げてやる。
どうせここも。
シンに教え込まれているはずだ。
シンはこのベータだけはオナホのように使わず、全身を文字通り舐め上げただろう。
隅々まで。
このベータにだけは、その感じる姿に目を細め、自分の快楽よりもベータがセックスに溺れる姿をみたいがためだけに、身体の全てを性器に変えたはずだ。
何故ならアキラもそうだからだ。
もちろん、アルファらしく自分の欲もぶつけてくるが、それだけの方がまだいいのに、ミサキが感じることにこだわるからだ。
アルファが相手ならオメガは何をされても感じるのに。
そんなことをする理由は。
相手を縛りたいからだ。
ミサキもきっと。
ベータに生まれていて、とても好きな人がいたなら、その人を自分に縛りつけたいと思っただろう。
ミサキには。
そんな相手がいなかったまま人生が終わるのだけど。
逃がしたくないから、セックスで繋ぐためシンはこのベータの身体にとことん快楽を教え込んだはずだ。
むしろ、シンがベータの心を壊してなかったことにはびっくりした。
セックスのことしか考えられないようにして、家に閉じ込めることくらいしてると思ってたのに。
まあ、それはアキラも同じで。
どちらもそれだけ相手に本気ということか。
・・・アキラの本気?
バカバカしい。
ミサキは心の中で自分の言葉に笑う。
このベータとセックスしたらアキラは苦しむだろうか。
苦しむだろう。
なら面白い、と思った。
ミサキの指が優しくベータの指を撫で上げていく。
にぎりこんだ指の指の股に、ミサキの細い指先が入り込むように擦った。
ゆっくりゆっくりと。
ベータの握りしめた指が緩む。
ほら。
シンはこんなところまで、このベータの身体を性器に変えている。
グリグリとそこでイタズラするように指を押し付けながらミサキはベータを見上げた。
可愛い顔だ。
平凡と言えば平凡だが。
泣き叫んだならもっと可愛いだろう。
「えっ・・・」
何が始まっているのか分からなくなったベータが戸惑ったように声をもらす。
すっかりゆるんだ指の間に、指を潜り込ませ強くミサキは擦り上げた。
まるで後ろの穴をぺニスで擦るかのように。
ヒクン
無意識にベータの身体が痙攣して、ミサキは呆れた。
ベータは腰から落ちるように揺れた。
指の股を弄られ、中で感じたのだ。
感じるだろうと思っていたがここまでとは。
シンは本当に全身を性器に変えているのだろう。
指の股でこのベータがイクまで舐め上げるシンの姿がおもいうかぶ。
シンのドスケベぶりは凄まじかった。
ベータの、平凡な男性の身体をすっかり変えていた。
爪を指の股に立ててやれば、ベータは立て続けに痙攣して、真っ赤になった。
「ええっ・・・」
激しく戸惑っていた。
自分の身体がシンによってどうされてしまったのか、自覚させられたのだ。
シンは本当にこのベータをオメガ並に感じる身体に作り替えたのだ。
指や指の股で感じる身体に。
可哀想に。
この身体じゃ日常生活に支障が出るようになる。
誰に触られても感じるほどの感度なのだ。
まあ、それがシンの狙いで、誰からも触られなくするためでもあるんだろう。
ミサキは本当に呆れた。
それにここまで感じさせられ女のように抱かれるようにしておけば、このベータが本来、性的魅力を感じる女性やオメガを遠ざけられると思ったんだろう。
だけど、オメガは女相手でも勃起させる、と言われるほど魅力的だ。
オメガの性的魅力には誰もあがらえない。
シンの仕込みはオメガにだけは意味がない。
「あの???」
真っ赤になって手を振り払おうとするベータは可愛かった。
振り払われる前にまた指の間に指を絡めて擦り、抵抗を奪う。
んっ
ベータは思わず声まで出してしまい、更に赤くなる。
指でこれなら、乳首なんか吸ってやれば連続でイクだろう。
女のようにイカせてから、ぺニスの本来の使い道も思い出させてやろう。
なんなら後ろまで可愛がってやってもいい。
ミサキの童貞をあげてもいい。
ミサキは微笑んだ。
美しいオメガの微笑みは妖艶だ。
ベータが更に赤くなる。
「あの・・・何を」
ベータはまだ仕掛けられているという自覚がない。
ミサキに感じさせられたのを感じてしまったと思って、恥ずかしさに真っ赤になってる。
シン以外が自分に欲望を向けてくるとは思わないのだ。
そうこれは。
ミサキの欲望。
ミサキはこのベータを思い切り汚してやりたかった。
空き教室でシンがオメガたちにしたみたいに。
「・・・可哀想。なんにも知らないんだね。シンはね、オメガの乳首が大好きでね、放課後の教室とかでね、裸に剥いて齧ってたよ。シン、乳首大好きでしょ?」
ミサキはそう言いながら、指を手から外し、寄り添う風にしてベータの胸に手を当てた。
「なんにも知らないオメガの乳首が大好き。アンタにもそうした?」
優しく胸をシャツの上からなであげる。
言葉にショックをうけたベータは同時に撫であげられてヒクンと身体をそらす。
オメガと違って細身の成人男性らしい厚さのある胸をミサキはゆっくり揉んでやる。
んっ
ベータが震えた。
可哀想なほどに感じる。
シンのおっぱい好きはオメガの間では有名なので、一晩中でもここを可愛がっているんだろう。
その話をミサキにしてくれた、シンにそれをされたオメガ達はもうこの世にいない、というのが恐ろしい話だけど。
ベータが傷ついた目でミサキを見下ろしてくる。
まだわかってない。
わかってない。
まだシンに嘘をつかれていたことだけで頭がいっぱいなのだ。
「アンタだけしか抱いたことがないって言われてた?大うそつきだね。毎日毎日毎日、シンはオメガのここをいじって楽しんで、オメガの孔に突っ込んでたよ」
ミサキは服の上から乳首を捕らえて指でつまんだ。
ああっ
あっ
思わず大きな声がでて、ベータは口を塞ぐ。
ここは裏にあるし、外は大きな音楽が流れているからどんなにベータが喘いで鳴いても大丈夫だ。
だからここにしたんだから。
「シンはベータのここで満足できたかな?」
ゆっくり服の上から乳首を潰し転がしてやる。
オメガや女性のように発達したそここそが、シンの執着の証明なのだが、それは教えてやらなかった。
ベータが動揺して、抵抗を忘れているのにつけ込んでいく。
「こんなベータの男の乳首なんかで、シンは満足できてるのかなぁ」
ミサキの意地悪にベータが顔を歪める、がさらにミサキは服を捲りあげ、直接そこを弄る。
思った通り。
その身体はシンが残した吸い跡や噛み跡だらけで、前の晩もシンに弄られ可愛がられただろう乳首はぽってりと腫れていやらしかった。
「ただの男のくせに」
ミサキは囁き、そして、少し身を屈めて、自分より少し背の高いベータの胸に顔を近づけ、その乳首を舐め始めた。
「な、何!!」
ベータが流石に驚き突き放される前に、ミサキの舌はそこを擦り上げ始めた。
ベータが突き放そうとする腕が震えて力が入らない。
ああッ
ひいっ
日常的に性に支配されている人間にある快楽に溺れるスイッチをミサキ入れた。
シンは実によくこのベータを支配していた。
感じてそれだけになってしまう。
そういう身体にするためにシンがどこまで努力したのかが良くわかる。
そして今はミサキのモノだった。
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