ミサキをベッドに横たえると、あっという間にシンはミサキを裸に剥いてしまう。 「いいね、ミサキ。エロいね」 シンは場違いな程爽やかに笑った。 ミサキは心臓が破裂しそうだった。 ミサキは。 望んでセックスをしたことがない。 欲しがったことはある。 我慢できなかったことはある。 早くいれろ、とアキラに怒鳴ったこともある。 ヒートなら尚更だ。 でも。 それはあくまでも身体の要求で。 飢えや乾きのようなもので。 セックス自体を望んだわけではなかった。 シンが好きだったあの頃も、シンが欲しかった。 そう、シンに好きになって欲しかったのであって、セックスだけが欲しかった訳ではなかった。 でも今。 ミサキは望んでセックスをする。 シンなど要らない。 でもセックスをすると決めた そしてそれを楽しもうとしていた。 それが一番アキラを傷つけるから。 イカさせられ、感じさせられ、欲しがらざるを得ないセックスではない、ミサキが、ミサキから望むセックスは。 これが生まれて初めてだった。 「可愛い・・・もうこんなにしちゃって」 シンが低く笑ってミサキの擬似ペニスに触れた。 そこはもう勃起して、アルファを欲しがり濡れていた。 シンは片手でミサキの擬似ペニスを扱きながらもう片方の手で器用に自分のシャツをはだけて、ズボン脱いでいく。 シンの指がいやらしくミサキの擬似ペニスを弄ぶ。 先の穴を親指で回すように刺激し、茎を扱くことをくりかえす。 欲しがり穴からヨダレを流すそこをシンは容赦なく責めてくる。 ああっ やぁっ ミサキは甘く鳴いてしまう。 それは情けないくらいガチガチに勃起してたけれど、今は脈打ち吐き出したいと濡れていて。 ミサキはでも両脚を閉じてしまっている。 シンが脚の間に入りたそうなのがわかってるのに、そのために自分から脚を開くのが恥ずかしかった。 飢えていて、もうどうでもよくなって脚を開くのとはわけが違う。 「ミサキ、いい子だから脚を開いて？オレのために」 シンの声は優しいけれど、そうしなければならない、と教えてもいた。 ミサキはシンを受け入れなければ。 だって、ミサキは自分の意志でセックスするのだから。 何度も何度も脚を開いて。 もっと淫らな姿勢でアキラを受け入れてきたのに、自分の意志で脚を開くというこんな簡単なことが恥ずかしくてたまらなかった。 ミサキは俯き、いやいやするような仕草をしてしまう。 まるで初めてかのように。 いや、初めてなのだ。 望んでするセックスは。 ミサキのセックスはレイプから始まったのだから。 「あ、くっそエロいな。そんなセックスの跡、全身につけてるくせにその態度。エロいな・・・可愛いよ、ミサキ」 最低男のシンは喜んでいる。 シンはミサキの困惑すらたのしんでいるのだ。 恋人の前で、他の男を抱くというのにこの態度。 ミサキは軽蔑を通り越して、感心してしまった。 シンの恋人はベッドの傍の椅子に座ってニコニコ笑って2人をみてた。 シンが何しようと気にならないのだ。 「ミサキ・・・始めようよ」 シンに促され、ミサキはおずおずと震える脚を自分から広げた。 それは言葉以上の承諾で、開いただけで、ミサキの孔が疼き、濡れていくのがわかった。 シンは低く笑いながらミサキの脚の間に顔を埋めていく。 太ももの付け根に沢山あるシンがつけた跡を、なぞるよに舐めながら。 「いいね、他のアルファのモンって感じで興奮する」 最低の言葉なのに、舐められる度にミサキは震え声を出し、感じてしまう。 アキラの所有の跡をシンが書き換えていく。 それは、ミサキの身体がミサキだけのものになることでもあった。 アキラが執拗に吸ってつけた跡を、そのアキラの執着を嘲笑うかのようにシンが舐めとっていく。 「寝取るって最高！！それはした事なかったからね！！」 シンも最悪な方向に興奮してた。 倫理のないシンですら、番がいるオメガに手を出したことはなかったのだ。 アルファにとっても禁断のセックスで、シンはそれを楽しんでいた。 「ここをアキラに吸われて気持ちよかった？」 シンの言葉は本当に下衆で。 でもミサキは言う。 良かった、と。 そうだから。 でも。 「オレに舐められてんのも良いでしょ」 アキラとは違う舌に、そうなのだと教えられ、ミサキは頷く。 そう、良かった。 シンの舌は気持ち良すぎた。 肌が、溶けそうだった。 何より、シンに舐められるからこそ、アキラの噛んだ感覚が呼び起こされ、2人から責められてるようで、信じられないくらい気持ちよかった。 太ももを舐められただけで、ミサキは射精していた。 「NTR、いいよなぁ」 シンはしみじみ言った。 最低だと思ったけれど。 その最低男を受け入れているから自分も最低なのだ、とミサキは思った。 でも。 今、ミサキはアキラの所有物ではなかった。 ミサキは最低男とセックスするという最低な選択をしてはいても、自分の意志でセックスしてる男だった。 オメガは。 こんなことはしないから