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第111話

「見てキョウちゃん。ここがオメガの孔だよ。キョウちゃんのとは違うね、ほら、自分から濡れるし、カタチももっと女の子みたいだ。キョウちゃんのもオレが女の子にしてあげたけど、オレが教えないとここで感じられなかったでしょ。でも、オメガは最初からいきなりここで感じるし、いきなり奥までぶち込んでも大丈夫なんだよ」 シンが恋人をベッドにさらにひきよせ、ミサキの尻をもちあげ、孔を指で出し入れしながら説明していた。 指でシンはミサキの孔を探っていた。 シンのためにカタチも何もかもを誂えたその孔を、自分のカタチに変えるために。 濡れた肉はシンの指に絡みつき、欲しがり求める。 シンは喉を鳴らし、突っ込みたいのを耐えいる。 美味そうに濡れた肉。 アルファなら喰らいたい。 「キョウちゃんもここ好きだよね、ここを指で擦られるんの」 シンは恋人に微笑みながら、ミサキの中の浅い部分を擦った。 アルファのペニスのコブが挿入時、潰してくるそこは、オメガが狂う場所で。 ミサキはそこを押されて、高い声をあげた。 アキラもここでミサキを苛めるのが好きだ。 指でここを何度も潰して、ミサキがイキ狂うのを楽しむ。 同時にその孔に入れたくて堪らなくて、うめき声もあげる。 それはシンもそうで、 「くっそ・・挿れてぇな」 ブツブツ言っていた。 シンがまだ挿れないのは恋人に見せつける為だ。 「キョウちゃんも舐められるの大好きだよね?ミサキにもしていい?」 恋人にわざとらしく問う。 「いいよ」 恋人の壊れたのんびりした声がする。 「ああ、そう」 シンは少しイラつい声をだした。 そして、ミサキはそうされることがわかって、シンがそこで吐く息に身悶えた。 アキラもそこを舐める。 アキラはミサキの身体のすべてを欲しがっているから。 ぺちゃ 濡れた舌がそこを舐める。 シンの舌はアキラはアキラのもの程分厚くなく、でも、アキラの舌より熱くて。 アキラほど激しく刮げるように動かない代わりに、ねっとりといやらしく動いた。 アキラは夢中で貪った。 シンは味わい楽しんでいる。 アキラの舌。 シンの舌。 どちらもミサキを快楽に溺れさせる。 「美味しいよ、ミサキ。ああ、良いねぇ・・・オメガの中でもかなりいい」 シンが他と比べて言ってくる。 シンは沢山オメガを抱いたから。 でも美味くてたまらないのだろう、零れる液すら夢中で啜る。 オメガのすべてがアルファには美味くてたまらないのだ。 「1人のオメガしか知らないなんて、もったいないとおもっちゃうよ。オメガはそれぞれ色々楽しいし美味いのにね」 シンは相変わらず最低だ。 アルファがオメガに持つ「執着」、アルファ自身をも破滅させるそれ、さえなければ、シンは相変わらずあちこちでオメガを喰いあらしていただろうし、他人のオメガも奪っていただろう。 楽しみ喰らうために。 でも、ミサキはアルファ全てが滅びないための枷でもあるのだな、と「オメガへの執着」について理解している。 でも今のミサキはそんな余裕はなく、シンの舌に狂いながら、アキラの舌と比べることで、アキラの舌にも狂っていた。 シンは舌だけでなく指も同時に使って孔を責める。 舌で内部まで舐め上げられ、指で弱いところを潰されて、ミサキはペニスからまた射精し、それだけでは足りず、中を痙攣させてイく。 イく イっちゃう アキラに言わされたように、そう叫ぶことを繰り返す。 「締め付けてくるね、いい孔だね、早く挿れたいなぁ」 シンの声もうめき声だ。 美味しい美味しい、とシンはそこを舐める。 夢中で。 でもシンの舌が優しく思いやり深いのは、恋人が見ているからだ。 恋人をこんな風に責めるのだろう。 優しく執拗に、夢中になって。 それを見せつけているのだ。 恋人を舐めるように、シンはミサキの孔を舐める。 アルファには美味くも何ともないはずのベータをシンはこんな風に愛するのだ。 快楽もさほど得れないだろうに。 支配欲を満足させるための遊びとしてベータを楽しむアルファはわりといるが、シンのそれが違うのはわかる。 その舌が指が、恋人にする時のことを教えてくれるからこそ。 「キョウちゃん・・・」 合間に恋人の名前を呼び、切なく見つめるから余計にわかる。 他人を愛する舌はだからこそ、さらにミサキを感じさせる。 傍らにある、見つめてるだけの恋人をこんな風にシンが愛してるとわかってしまうからこそ。 セックスしてるのはミサキとシンなのに。 ここには4人のセックスがあった。 ああっ きもち、い いいっ ミサキはまたイく 「恋人とする時も、他のオメガとかと比べてしてるのかよ!!最低だな!!」 でも、ミサキはシンを詰る。 自分もアキラとシンを比べながらしているからこそ。 その最低さにさらに感じてしまうからこそ。 「比べるね。誰と比べても、キョウちゃんが一番可愛いからね」 シンは歪んだ笑みで、言い切る。 もう限界なのだ。 ミサキの尻を抱えて、自分のペニスをあてがっている。 ミサキはそれが嬉しくて腰をくねらせながら、同時に何故か泣いていた。 シンに負けた気がする。 シンは最低なのに。 シンはクソなのに。 シンはずるいのに。 シンはベータを愛していて、それを諦めないし、手放さないのだ。 それをミサキを犯すことで証明しようとしてる。 ミサキは利用されてて、悔しい。 でも。 ミサキにも必要だった。 アキラのモノでは無くなることが。 アキラだけの入れ物でなくなることが。 なのに。 なのに。 シンのモノを欲しがりながら、アキラのモノも求めていたし、 何故か。 泣けた。 アキラを傷つけることに。 でも。 止めるつもりなどない。 「キョウちゃん、挿れちゃうからね、キョウちゃんのモノなのにね、オレのは」 シンは恋人にじっくり見せつけた。 自分のペニスとミサキの孔を。 浅く何度もくぐらせ、クチャクチャと孔で音を立てて。 ゆっくり擦りつけて。 その度にミサキが喘ぐ。 欲しくて自分から腰を揺らす それでも恋人が笑っていたから。 シンはため息をついた。 傷ついたように。 でも次の瞬間、ただのアルファになって、ミサキを奥まで貫いた。 獣の唸り声をあげながら。 もうここからは、アルファとオメガの時間だった

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