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第112話

アルファはそれを侵略だと思う。 オメガは逆にそれを胎内で喰らうことだと思う。 始まってしまえば、それは2つの種が喰らいあいながら溶け合う、融合なのだと知る。 アルファは肉を拓きながら、そこで自分を迎える襞がが自分をむしゃぶり、蠢く感覚に怯え、そして、陶酔し、挑み続ける。 オメガは深い奥まで犯されながら、それを欲しがり胎内でそれを溶かしながら、もっと深くまで侵入されることをのぞみながら、貪る。 肉が交わり、二つの身体が融合する アルファは狂ったように叫ぶ。 アルファにはこの瞬間は恐怖でもある。 唯一アルファが喰われる瞬間だからだ。 生態系の頂点のはずのアルファが、この瞬間にはオメガに食われてもいるのだから。 だが、喰われながら喰らう、この感覚にアルファは我を忘れて陶酔する。 この身を焼かれて引き裂かれながら、同時に引き裂き喰らい、欲しくてたまらなかったモノに到達するような欲望。 すべてのアルファが、それが欲しくて、オメガを犯さずにはいられない。 オメガの孔を犯し、その中で食われながら引き裂くことてしか、そこに至る道がない。 「オレの!!オレの!!オレのぉ!!!!」 シンが叫ぶ。 いやこれは、シンではなく、アルファが叫んでいる。 アルファは種としての記憶と意識を全員で本能として共有していて、それがオメガを求めるのだ。 アルファが欲しい「ソレ」はオメガの中にしかない。 オメガを犯してその肉の中で溶け合うことでしか、アルファのその飢えは癒せない。 ミサキも狂ったように叫ぶ。 この時はアルファに与えられるすべてのことが快楽になる。 腹を突き破られるほど突かれる程、中はうねるように喜び、極悪なペニスに奥の奥まで貫かれることに痙攣してしまう。 アキラじゃなかった。 アキラじゃない。 カタチが、違う。 太さが違う。 アキラのより長くて、アキラのより細い。 それがわかってしまう。 アキラしか知らない、番のためにだけ存在するオメガの肉体はその違いに戸惑う。 だけど、良かった。 アキラじゃされない感覚が、知らなかった感覚が。 ミサキを感じさせた。 これもアルファだと理解したオメガ身体が、違いすら喜んで喰らいだす。 アキラのための形になっている身体がシンに無理やり歪まさせられるのが堪らなく良かった。 「ああ、いいな。他人の番って・・・オレのじゃないってのがたまんないね、美味い・・・美味すぎるだろ!!!」 シンが夢中で腰をぶつけてくる。 深く抉られ、激しく突かれ、乱暴なほどに回される。 人間なら、ベータなら死んでしまうそれを、ミサキのオメガの身体は、揺さぶられながらも、しなやかに受け止めて、逆に中からアルファを喰らう。 あひいいい あぐぅあぁぁあ ひぐぅっぅ ミサキは獣の声を上げ、シンの腕に歯を立てて、齧る。 シンも獣の唸り声をあげて、ただミサキの中で達することだけしか考えていない。 それをぼんやり。 ぼんやり。 シンの恋人は見ていた。 決してシンの恋人はこれを理解することはできない。 ただの人間。 ただのベータ。 シンと恋人がするセックスは今行われているものと比べたら、遊びでしかない。 少なくともシンの快楽としては。 アルファとオメガの。 自分の意志よりも上にある、この欲望。 アルファはオメガを喰らい。 オメガもアルファを喰らう。 アルファは。 アルファは。 オメガを求めることだけが生きることなのだ。 それが本能に組み込まれていて。 そして、オメガはアルファのためだけに存在している。 だからアルファに抱かれることが必要なのだ。 正気のミサキなら思っただろう。 そんなのおかしい、と。 そんなシステムが何故有り得る? オメガとアルファは違う生き物なのに。 何故アルファは同じ生き物であるアルファの雌を持たないのか。 何故オメガはアルファのためだけに存在するのか。 それは。 研究さえ禁止され、考えることも禁じられている。 アルファによって。 それはどういうことなのか。 でも。 今のミサキにはそんなことを考える余裕などなく。 「アキラ、アキラ、アキラの・・・」 シンにアキラとちがうところを拓かれながら、アキラの名前を絶叫していた。 だって違っていたから。 アキラじゃないと、挿れてしまえば余計にわかってしまうから。 「ははっ、こういうのはアキラでは無かった?」 シンは夢中になりながら、それでも、最悪である性格を発揮したのはさすがだった。 「美味い・・・!!美味い!!!ああっ、たまんないな!!人のオメガは美味いな!!」 シンが喚いた。 ミサキの肩や喉に歯をたてて、そこから血を流させる。 「アキラ違っ・・・!!いいっ!!気持ちい!!!!ああっ!!」 ミサキが泣き叫ぶ。 そこをシンが満たすとわかった。 アキラのじゃないので満たされ、それで終わることなく、また何度も出されると。 ミサキは薬で妊娠を止めている。 だが、元々、ミサキの子宮は番であるアキラ以外を受け付けない。 だから妊娠はしない。 でも。 アルファの精液でそこを満たされることにミサキの身体が喜ぶことはもうわかっていた。 アルファとオメガの一番の快楽は。 そこを満たすことにあるのだから。 「めちゃくちゃ美味い!!最高!!」 シンが息をきらせて、身体を震わせミサキを満たすのと、 ミサキがそれに喜び狂うのと、 「嫌だ嫌だ嫌だ!!!」 シンの恋人が絶叫するのは。 ほぼ同時だった。

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