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第6話 素直な気持ちとおふざけ

「あいつの事が好きだって……気づいたのだって………あいつに告白した…卒業式の日なんだ」 「そうか」  俺の途切れ途切れの言葉に歩は言葉数少なめに返す。何も言わず、ただ聞いてくれる。今はそれが嬉しい 「別に特別な事があった訳じゃないんだ。………ただ中学を卒業してもあいつとこれからも一緒にいられるんだなって…思ったら、凄く……嬉しくて、でも、もしあいつと違う高校に行ってたらって考えたら凄え辛くて……それで…なんとなく気づいた」  自分の恋心に気づいたのは偶然だった。本当に大したきっかけもなかった  けどそれに気づいたらあいつの事を考えるとドキドキして胸の音がうるさかった。自分の気持ちが信じられなくて、考えないようにしてもすぐにまたあいつの事を考えていた。それで認めるしかなかった。俺はあいつに恋してるんだって  そしてそれに気づいてショックを受けた。だって絶対に叶わない恋だから 「でも、あいつは俺らと違うし………高校で彼女を作るんだって意気込んでて……俺じゃ絶対無理だって落ち込んで………けどあいつを好きなのをやめたくなくて、あいつを好きなままでいたくなくて告白した」 「そうだったんだな」  相変わらず歩は自分からは何も聞かずにいてくれた。そのせいか俺は自然と言葉を続けていた 「振られるって覚悟してたから、あいつが告白をオッケーしてくれたのは最初は信じられないくらいに嬉しかった。もしかしたら両思いなのかって。そんなわけないのにな」 「………そうか」  今までと違って歩の返事はほんの少し少しだけ間があったが俺はそれに気づかずにいた 「そこからはお前に怒られた通りの流れであいつの軽い感じに俺が勝手に切れて勝手に八つ当たりした」 「まぁ、ちょっとばかり問題はあったけどお疲れさん。それと今度はちゃんと本心を隠そうとしなくて安心したぞ。涙を我慢もしてないしな」 「えっ?」  そう言われて気づく。目が熱く視界が歪んでいた事に。俺は慌てて隠そうと涙を拭おうしたが、その手を歩が止める 「さっき言っただろうが俺を頼れって。そもそもさっきからずっとその状態だから今更隠しても意味ねぇぞ」 「マジ?」 「こんな状況で俺がそんな嘘いう訳がないだろ」  真顔で言われてその言葉が嘘じゃないという事を理解させられて俺は一気に恥ずかしくなる。いくら友達でもボロボロ泣いてるのを見られるのはちょっときつい  そんな俺の気持ちを察したのか歩は呆れたような顔になるが直ぐに優しい顔つきに変わりさっきの続きなんだけどなと前置きをしてから 「自分にとって最善の選択をする為に自分の気持ちは自分がちゃんと分かってやれよ。自分意外の誰かが自分の気持ちを分かってやれるとは限らない。お前の気持ちを1番お前の近くにいる実弘自身が分かってやれ。だからまずは」 「ふぁ!?、ふぃひふなふぃふぁひふふほは?(わっ!?いきなり何するのさ?)」  喋っていた歩は徐に俺の頬に手を伸ばして、引っ張りだした。 「あはは。何言ってるかわっかんねえな」 「ほふぁふぇが、ふぃっぱっふぇるふぁほうが!(お前が引っ張ってるからだろうが!)」  俺は歩に抗議をしたが適当に無視している。マジで急になんなんだよ!? 「いや、だから分かっんねぇって」 「ふぁったら、ふぇほはなふぇよ!(だったら手を離せよ!)」 「まぁ、急に自分の本心を分かれなんて言われてもどうすりゃいいかわかんねぇよな。だから取り敢えずは自分がその時どう思ったかを振り返ったりしてみろ。考えるんじゃなくて、思った事をだぞ。それなら簡単だろ?」  それはまぁ確かに簡単ではあるけど、俺の頬を引っ張る必要あったのか? 「それと1人で抱え込むなよ。お前は1人にすると衝動的に行動したり、先の事を考えすぎたりして悪い想像ばっかりして突っ走っるからな。今回のだけじゃねぇ最初の頃の俺らが良い例だろ。だから俺を頼れよ。何かをやらかす前に」 「………ふぁーい」  やらかす前提なのが気にはなったが痛いところを突かれてしまったので俺は頷くしかない。悔しいけど確かに今回のことと言い出会った頃の俺らの不仲もどっちも俺が原因だから強く言い返せない  でも頼れる友達がいるってのは凄え心強いし、なんか安心があるし嬉しいな 「あっ、それと頬を引っ張ったのはただ単にお前の変顔が面白そうだったから特に深い意味はないぞ」 「ふぉい!ほふぁ!(おい、ごらぁ!)」  せっかく頼もしく思えたのに今ので台無しだろうが!?俺の気持ちを返せ!そして俺で遊ぶなよ!落ち込んでる奴で遊ぶとかお前は本当にドSだよ!?てかやっぱり鬼畜だろ!! 「ぷっ、あっはは。そうだよ。お前はそんな風に明るいのがいんだよ。いつものワンコキャラっていう猫被りをしてる時も含めて明るくいるお前が俺は好きだぞ」  ………もしかしてわざとだったのか?もしそうなら遊ばれたのはムカつくけど、俺を元気づける為のこうだったとかなら感謝しないとだな 「あっ、今の顔写真に撮っていいか?」 「ふぇったふぃにふぇへろ!(絶対にやめろ)」  いや、ないな。もしわざとだったとしてもそんなに気にしなくていい。てかいい加減手に離せ!

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