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第8話 出会った頃とドS

「それじゃあ、もう明日にでも行ってここい」 「えっいやさすがにそれは」  いくらなんでもいきなり明日に行くのはきつい。心の準備とかできてねぇし。俺の反応に対して特に気にした様子もなく歩の言葉は続く 「お前の中でどうしたいのかその気持ちは出ているんだろ。そんでその為にやる事も決まってる。でもってそれはお前の独りよがりじゃないんだ。だったらさっさと行ってこい。何か行けない理由とかがある訳じゃねえんだから」 「それはそうだけど」  煮え切らない俺に変わらず歩は淡々と話を続ける 「お前の中でどうしたいのかその気持ちは出ているんだろ。そんでその為にやる事も決まってる。でもってそれはお前の独りよがりじゃないんだ。だったらさっさと行ってこい。何か行けない理由とかがある訳じゃねえんだから」 「それはそうだけど」  煮え切らない俺に変わらず歩は淡々と話を続ける 「何をするかを考えるならともかく悩む時間なんて無駄だろ。お前の中でどうするかはもう決めてあるんなら後は全力で行くだけだろ」  その言葉に俺は何も言い返せなかった。歩の言う通りだ。確かに俺はもう自分の気持ちもやる事も決まってる。だったら時間を置く必要なんてないんだよな 「そうだな。明日にでもまた悠真と話してくる」 「一週間連絡避けてたの謝っとけよ」 「わぁってるよ」  そういや、あいつと会うのは歩と同じで1週間ぶりなんだよな。なんか意識すると緊張してくるな。そんな俺の変化に気づいたのか声をかけられる 「もし、きつかったら俺もついていくぞ」  その顔にはまた心配だと顔に書いて聞いてくる。 「いや、さすがにそれはいいって。てかお前は俺の保護者かよ。なんだ歩母さんか?」 「本当に大丈夫か?」  この反応ね俺は正直意外だと感じた。俺のおふざけに対して何かいうかと思ったが特に何も言わずにさっきと同じように心配してくれてる 「大丈夫だって。というか寧ろ俺は1人でアイツと向き合いたい。ちゃんと自分の口であいつと話したい」 「そうか。分かった」  ったく口は悪いのに相変わらず優しいし、面倒見がいいんだよな。今だって口では分かったって口にしながらも俺の事を心配そうに見てるし。最初の頃はこんなんじゃなかったのにな 「へへっ」  そう思うとなんだかおかしく思えてきて俺は笑い声を漏らしていた 「あぁ?何で人の顔見て急に笑い出してんだ?」  笑い出した俺に対してさっきまでの心配していた表情を引っ込めて不機嫌そうな顔になっている。声にも少し苛立ちが混じっている感じがする。意外と怒りっぽいんだよな  まぁ、でもそういう反応にもなるか。真面目に心配してる相手に顔を見て急に笑われてたら誰だっていい気はしないよな 「悪い悪い。なんか前の事を思い出してたんだ」 「はぁ?一体何のことを思い出してたんだよ?」  その声は不機嫌だが顔には興味があると書かれて聞いてくる 「ほら、俺らが初めて会った時の事だよ。その時と比較すると俺ら凄く仲良くなったよな」 「ああ、なるほどな」  俺の言いたい事が直ぐに思い至ったらしく、納得の言葉を呟きなが何度か頷いている。かと思っていたらその表情に変化が現れ、笑みが浮かぶ。だけどその笑顔はさっき浮かべていた物とは少し違った。それを見て俺は顔を少し引き攣らせてしまう  あっ、やべ。これ多分余計な事言ったやつだ。なんかドSな顔つきになってるし、絶対に失敗した。俺は聞かれた事を素直に喋ってしまった事を激しく後悔するがもう遅い 「いやあ、俺もお前とこんな関係になるとは思いもしなかったわ。まぁ、まさか開口一番に喧嘩売って来た奴と親友になるなんて考えもしないよな普通」 「……あーえっとその事に関してはマジで悪かったって」  当時の事を思い出した俺は気まずさからつい、視線を逸らしてしまう。俺の反応に対して歩は笑みを深める。そのニヤケ面がムカつくが内容が俺のやらかしなだけに何も言い返せない 「よりもよって他の奴らとにニコニコと話してるのを見た後のタイミングだったしな。それに加えてまさか普段のキャラがワンコキャラの猫を被ってるだけで実際はあれだしな。今考えてもなんか笑えるし初めて気が緩んだ時のお前を見た時なんか爆笑もんだったよな」 「いつもは1人の時に出るだけで人前では出さないし、人に見られたのはお前だけだっての!」 「え、そうなのか?」  俺の言葉に歩は意外そうな顔をしてる。これまじトーンか?それとも分かってないふりなのか?判断できねぇな 「そうだよ。そもそも他の人に見られてたくないだろ」 「じゃあ俺だけがお前のアレを知ってるんだな。へぇ、お前本当に嬉しかっんだな」 「わざわざ言うな!そんでニヤニヤすんな。そしてマジで恥ずいから記憶から消せ!」  本当にマジでやめてくれ。あれは思い出すだけでも恥ずかしすぎる 「いやぁ、それは無理だって」  ニヤニヤしたままそう言う歩。コイツ本当によくもまぁ、この性格を普段は隠しきれてるよな 「いやぁ始めてあったあの時はマジで驚いたなぁ。俺あの時の事は未だに覚えてるぞ。だって人懐こいワンコキャラのお前が喧嘩を打ってきただけでも驚きなのに、バカっぽそうな奴なのに俺の本性に気づいてた感じでビビったわ」 「だからあの時は悪かったって言ってるだろう!わざわざ掘り返さないでくれよ。あとさらっとばかっぽそうとか言うな」  このままだと長引きそうだと思った俺は強引に話を止める事にした。こうなるとしばらくは歩のいいようにされるからこれでいいだろう  てかそうじゃなくてもドSな奴にいいようにされて喜ぶ奴はそうそういないし、俺にはそういう趣味はない 「ははっ、悪かったよ。今日はもうその話題は出さねえから落ち着けって。ったくそういうところがかわいいからつい弄りたくなるっつうのに」 「いや、ちょっと待て今日はってなんだ今日はってまた今度やるつもりじゃねえか。ってか、かわいい言うな。まだそれを引っ張るのかよ」  さらっと言ってたから流しそうになったけど、普通に嫌なんだが。それと俺は別に可愛くなんかねぇっつうの 「え?当たり前だろ。何を言ってるんだお前は?お前を弄るのは楽しいし、それによく言うだろ可愛い子ほどいじめたくなるって」  なに首を傾げてさも当然かのように言ってんだよこいつは。堂々としすぎて一瞬俺がおかしいのかって思ったぞ  でもそんな事はない。コイツは俺がおかしいみたいに言ってるけど絶対にそんな事ねぇからな。つうかそもそもかわいいどうこうは俺には当て嵌まらねえだろうが 「っ、お前マジでいい性格してるよな。つうかいい加減に、そろそろかわいい言うのやめろ」 「ったく仕方ないな。さすがにかわいそうだからここまでにしておくか。あとどうして俺の性格がいいなんて分かりきった事を今更言うんだよ照れるだろう」  良い笑顔を浮かべながらそんな事を言っている歩。だがそれは委員長の時の人当たりのいい笑顔だ。口調は先程までと変わらないので違和感が凄い事になってる 「おい、外行き用の笑顔とその口調で喋るな違和感がありすぎてキモイ。つうか誉めてねぇよ」  まぁ、こいつの場合絶対に分かっててやってだんだろうけどな。本当よくこの性格を今隠して通せてきたよな。俺しか知らないとか驚きだわ。家族にも知られてないってどんだけ徹底してるんだよ。 「いくらなんでもさんざんな言いようじゃないのか?」  今度は表情も素のものに戻っていて違和感は消えた。でもってなんか文句言ってけど 「事実だから仕方ねぇだろ」 「酷えな」 「お前よりはマシだ」 「えぇー」  俺が言えた事じゃねぇけどやっぱりこいつは:外行き(委員長モード)の時と(悪魔モード)の時で差が激しすぎるだろ。俺とは比較にならないくらいに変わるし。しかもこれが俺と同じで作ってる訳じゃねってのがすごいんだよな  あっ、そういえばあともう一つあったな。まぁ、あれは滅多に出ないし気にしなくていいか

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