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第5話

男が去った。 ギリギリまであの子を犯していた。 柔らかい魚形の下半身はどんな風にも曲げられるから、それこそ色んな角度でその孔を楽しみ、その子の美しい人間の上半身の肌という肌を愛撫して。 その子は何度も喉までも犯され、飲まされていた。 それですら達するその子の身体を、男は笑って満喫したのだ。 美しい人魚。 人魚を犯す。 人間がどれほど人魚に虜になるのか。 男の行為は終わらないのかと思った。 でも。 終わった。 男は舌打ちした。 行かねばならないのだ、とわかった。 男にも。 現実世界があるのだ。 それでもその子の身体を綺麗に整え、綺麗にしたベッドに横たえていった。 「愛してるよ、私の人魚」 男は言ったが、その子は男を睨みつけただけだった。 男は少し悲しげに見えたが、何を悲しんでいるんだこのバカ、と少年は窓から思った。 男か去ると同時に窓を開けて入った。 こんな古い屋敷の窓は強く叩くとスプリングが緩んで開くことは村の子供なら誰でも知ってる。 だが子の村では泥棒などない。 村の繋がりこそが最大のセキュリティだからだ。 男は村の犯罪率の低さからここにその子を隠すと決めたのだろうけど、何がセキュリティとして作用しているかは分かっていなかった。 部屋に忍びこむと、ベッドの中で泣いてたその子が顔を上げた。 涙が美しく落ちる目が少年を見つめる。 なんて青。 青、藍、碧、深く淡い。 南の海の瞳。 やはり、綺麗だった。 こんな綺麗な子見た事ない。 少年の胸がドキドキした。 少年は静かにベッドの傍に行き、その子の枕元に腰を下ろした。 もう視線だけで何度も会話はしてる。 助けることも伝えてる。 問題はどうするかだった。 「泣くなよ。ここから出してやるから」 少年は言った。 泣いてたその子が笑ったから、胸が熱くなる。 指を伸ばして涙を拭いてあげたかったけど、不用意に触るのは躊躇われた。 何度もその子でオナニーしてしまったからこそ、無遠慮に触ったり、嫌がることは何一つしたくなかった。 あの男と同じにはなりなくなかった。 だって。 だって。 わからないどうして? でも、この子は特別。 助けると決めてた。 でも正直に言う。 「でも、どうしたらいいのかわからないんだ」 どうしたらいい? 自分は子供で。 この子を担いで逃げ出したところですぐに捕まってしまう。 どうしたらいい。 でももう嫌だった。 あの男にこの子が犯されるのは嫌だった。 オナニーしてしまったけど嫌だった。 その子の目は少年をじっと見つめた。 涙が止まり、その子は少年の目を見つめ、その気持ちを読んでくれた。 微笑んでくれたから心臓が止まるかと思った。 起き上がったその子のパジャマの襟元から見える沢山の吸いあとに泣きたくなった。 男は白い肌の部分にたくさんそれを刻んだのだ。 支配の印を。 嫌がるこの子に。 泣きそうになる少年の目を、その子はまた読んだ。 また微笑まれた。 少年は真っ赤になる。 死んでしまうかもしれない。 その子がベッドから這い出てきた。 パジャマは上だけだったから、尾鰭である下半身が見える。 美しいと思った。 青い滑らかな、尾鰭のある下半身。 そして。 あの切れ目。 あの中にあの可愛くいやらしいペニスと、男が何度も出した孔があるのだ。 思わず目をそらした。 真っ赤になって目をそらす少年にその子は笑った。 そして、目をそらした側に回りこみ、少年の目を覗き込み、その思いを伝えてきた。 「助けて」と。 だから少年は頷く。 「どうすればいい?」 少年の問いの答えは。 その子の方が持っていた。

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