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第11話
夜が明けて、都市についた所で車は乗り捨てた。
子供が運転していると目立ってしまうからだ。
その子を車椅子にのせて、列車で海へと向かうことにした。
車椅子の少年とそれを押す少年。
子供だけでも目立つが仕方ない。
殺された男と、溺れたメイド、そしていなくなった屋敷に住んでいたという車椅子の少女が結び付けられるのはすぐだろう。
無くなった車も。
男やメイドが発見されるとすぐに手配されるだろう。
金持ちが死んだなら尚更警察は動く。
だからとにかく急ぐ必要があった。
男の上着から持ち出した財布にはたっぷりと現金もあったから、個室付きの席を取り、2人は海へと向かう。
「祖母の家に向かう従兄弟同士」だと声をかけてきた大人には言った。
男の部屋で手に入れた服は高そうなもので、それと少年の着てる古びたズボンや、その子の髪を隠すための帽子のくたびれ具合がちぐはぐで、疑われているな、とは思ったが列車以外方法はなかったから、ゴリ押しした。
でも、列車に乗り込み、個室で2人だけで外を流れる景色を見ているのは楽しかった。
手を繋ぎあった。
何度かキスもした。
見える光景に二人で興奮した。
貨物列車に忍び込むのと、全く違って。
列車は最高だった。
だけど、いくつ目かの駅で、制服の警官が乗り込んできたのを窓から見る。
まだ、男が死んだのは気付かれてないはずだ。
男は村人たちと関わらないから。
気づくとしたら週一の食料の配達人か、プールの清掃に月一でくる業者だろう。
怪しい子供が二人でいる、との通報に警察が事情を聞きにきたのだろう。
事情も何も。
あの子が人魚だとバレると面倒なことになるのはわかった。
でも列車は動き出し出していて。
警官はこの個室へと向ってくる。
列車は走り出していた。
少年とあの子は顔を見合わせた。
1つ1つ
個室のドアをあけていく音がする。
少年とその子の個室のドアもノックされ、ゆっくりと開けられていく。
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