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第12話

警察が入ってくるより先に、あの子と少年は走る列車の窓から外へと飛び降りた。 列車は橋の上にさしかかっていて、橋の下は川だった。 川が浅かったなら少年もあの子も死んでしまったかもしれない。 いや、そんなことはない。 川の水は自ら少年とあの子を受け入れたのだから。 包み込まれ、受け入れられ、飛び降りた衝撃さえ、消された。 あの子の力だったのだろう。 水に優しく包まれて。 少年とその子は岸まで運ばれて行った。 この山を超えたら海がある。 後少し。 少年はあの子を背負った。 背負って歩く。 あの子の滑らかな下半身は移動するには問題無くても、山の岩や石に傷ついてしまうからだ。 あの子は見た目より重かった。 山道はキツく、大変だった。 でも。 あの子を海へと帰すと決めたのだ。 あの子が背負われながら、心配そうな目で自分の首や頭を見てるのは知ってる。 でも。 これを成し遂げなければならない。 それに。 少年には苦しみが救いでもあった。 あの子が泣きながら犯されている時、自分はその姿をみて自慰してしまったのだ。 あの子の苦しみで快感を得たのだ。 苦しまなければならない。 そうでないと自分を許せない。 でも山頂でとうとう動けなくなった。 森の中に身を隠した。 追われているかもしれないと思ったからだ。 「ごめんね、ここで寝よう。起きたら山をおりるから」 少年は心配そうに寄り添うその子に言った。 足の豆は潰れて、血が出てる。 その手当すら出来ないくらい疲れていた。 「絶対に連れて行くから」 少年はそう言った。 あの子が少年を抱きしめてきた。 少年は身動き1つできなかったけれど、あの子に抱きしめられ、そしてキスされて。 幸せだった。 とても。 明日には海へ。 でも。 そうしたらこの子には二度と会えないだろう。 動けなくなった身体をあの子の体温が包む。 あの子が、泣きながら身体を擦り寄せてきたのだ。 夜の森の中。 差し込む月光に。 あの子の青い髪や青い目が深く光る。 あの子が少年のシャツのボタンを外していく。 何を、と思ったけれど、止める体力もなかった。 むき出しになった肌にあの子の唇が触れて。 濡れた唇が少年の胸を甘く吸い、そして少年の乳首を捕まえた。 甘く吸われた。 ああっ 思わず声が出た。 何度も唇で乳首を含まれ、吸われ、歯で優しく噛まれていく。 あの子は少年の乳首を指で擦り合わせもした。 快感の芯が生まれる。 それに尖る。 その乳首をあの子は唇でまた愛してくれた。 知らない感触は、身体を震わせる。 気持ち良いのだとわかった。 股間に熱が溜まっていく、 あの子の目が優しくて、甘い。 だから。 これは。 あの子が望んでいることなのだと分かったから。 身を任せた。 あの子のしたいようにさせてやりたかった。 あの子の指も唇も優しく、少年を溶かす。 ズボンを脱がされた。 もう疲れきっているから勃たない、と思ったけれど、あの子がしたいようにさせた。 でも。 あの子は確かにやわやわと少年のペニスを愛しげに触れたけれど。 あの子が物欲しそうに触れたのは、前にあるペニスより後ろの穴の方だった。 あの子の滑らかな下半身にある切れ目からペニスが飛び出していた。 いやらしい、綺麗な、でも少年のモノよりも大きなペニスが。 あの子はそれを少年の後ろの穴に擦り付けてきた。 硬くて熱く、もう先が、濡れていた。 少年は戸惑った。 それは何度もしてきた自慰での妄想でも、考えたことがなかったからだ。 あの子の切れ目に自分のペニスを入れる妄想なら何度もしてきた。 でも。 あの子のを自分に? それは。 考えたこともない。 でも。 あの子が女の子でも男の子でもあるとは、分かってたことで。 あの子は擦り付けはしても、それ以上はしてこない。 やわやわとペニスを撫ではしても。 ただ気持ち良い。 そして。 あの子の目があまりに青くて。 そしてあの子が愛しいから。 あの子が欲しがるなら。 欲しがってくれるなら。 良いかと思った。 「いいよ。好きにして。どうせ、オレはもう指一本動かせないし」 少年は微笑んだ。 あの子に上げられるなら何でもあげたかった。

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