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09※

 兄が朝日の名前を呼んだことで、兄に伸ばした手がピタッと止まった。  分かってる。兄さんが求めているのは俺じゃない。でも、それでもーーー、 「あさ、ひ、・・これ・・ぇ・・、取って・・」  なんでそんな物を、そんなところに入れているのか。自分で入れたのか、誰かに入れてもらったのか。後者なら、ムカつく。  兄はなぜかジャージを顔に被せていて、俺を朝日だと勘違いしている様だった。  良くない、本当に、良くない。それを利用して、兄に触るのは、良くない。  思考とは裏腹に、指は止まらなかった。  自ら足を開き、あられもない姿で懇願する兄に、理性など、保てるはずもなかった。  指を入れるだけでびくびくと体が震え、つんっと反り勃った性器の先端から、白濁の液体が弾けていた。  俺の兄は、こんなにも敏感なのか。これだけのことで、こんなにも汚して。  可愛い、可愛い、  もっと、もっともっともっと、俺の手で、気持ちよくしてあげたいーー  兄のせいで腫れた脈打つ自らの性器を、散々解し、涎を垂らしている割れ目に這わせる。  ぐっと腰を寄せると、亀頭が勝手に飲み込まれていくのだ。 「・・・あ、さひ、っお、ね・・が、きて・・・、ーーーツひ、あ・・ッツ」  どんどん、どんどん、飲み込まれて沈んでいく。  熱い。熱くて、俺のにうねって絡み付いてくる。 「っ、・・ッぅ、あ・・ッ」  兄が、感じている。彼氏がいるのに、俺のもので感じて、達している。嬉しい。嬉しい。 ーー兄と、セックスしている。  その事実だけで、性器が更に膨張していく様に感じた。  兄の中をじっくりと感じられる様に、絡ませるかの様にゆっくり、ゆっくりとピストンする。 「っ、キッツ・・、」 「・・や・・ッだ、ぁッ・・、や・・め・・、ッぁ、」  声でバレたのだろうか。それか反応からして、入れただけで朝日でないことはバレていたのかもしれない。兄はうろたえている様だった。それも、そうか。義理とはいえ、弟に抱かれているんだ。  嫌か。今まで可愛がってきた、"ただの"可愛い弟に抱かれるのは。でも、俺が、ずっとこうしたいって思っていたことを伝えたら、兄はどんな反応をするんだろうか。  兄が、顔に被せているジャージに手を掛けた。まさか、取るつもりでいるのか。 俺は、顔を合わせながら、兄とできるのか?そのジャージの下の、兄はどんな顔をしている?泣いてる?怒ってる? ーー駄目だ、 「ごめん・・・ッ、本当、ごめん、ごめん。これは、取らないで、ごめん、ごめん、ごめん、」 「・・や、だ・・ッ、ぬけ、・・ぬ・・、け・・ッ、やよ、ーーッッ」  ジャージに手を掛ける兄の手をパシッと掴み、口の部分のジャージをまくり、俺の名を呼ぼうとする口を塞いだ。 「ーーんんッ、ぁ・・、んっ、ん、」 「・・ん、」  舌を絡め取ると、吐息と共に声が漏れ出ていた。  可愛い、可愛い、咲良、可愛い。俺の、ものに、したい。 「っ、出すよ、」 「や・・ッ、や・・め・・、い、や・・・、だ・・、ぁッッ」  兄の静止を無視し、最奥に打ち付けると同時に、熱が弾けた。  脈打つ自らの性器から、どくどくと兄の中に流れ込んでいくのが分かる。  出尽くした、熱が冷めてきている性器を引き抜くと、次第に脳が現実に引き戻されるのだ。 「っう、ぁ・・・ぅ・・・、う・・っ、・・ッ」 「・・あ、」  兄が、泣いている。俺のせいで、泣いている、  どうしよう、俺は、兄に何を、した?どうしよう、どうしよう、泣かないで、泣いてるところなんて、見たくないのに。  ジャージを下で嗚咽を漏らしながら泣く兄に、手を伸ばした。俺の手が兄の腕をかすめた時だった。 ーーパシッ  手を払われる無機質な音が部屋に響いた。 「・・・・さわ、るな」 「にいさ・・、っ」 「・・・おま、えの・・か、お・・ッ、みたく、ない」  瞬間、頭が、真っ白になった。  気付けば、俺は保健室を飛び出していた。  保健室の外には、何やら揉めている奴らがいた。  朝日、と、なぜお前が、ここにいるんだ。  ーー結城。  一瞬、朝日と目が合った。  その後のことはもう、覚えていない。 頭から離れないのは、泣いている兄の声。  それと、教室で見たのと全く同じ笑顔を浮かべていた、結城の顔。  まさか結城は、こういうことになることを、初めから分かっていたのだろうか。

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