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「い・・や、・・・ッ、や・・だ、・・あ・・ッ」
「どうしたんですか、先輩。ほら、良いとこ突いてあげるんで泣かないでください」
流れ落ちる涙を舐め取ると、結城のカリが凝りを捉えるのだ。
凝りごとずちゅずちゅと奥に突かれ、嫌なのに、絶対嫌なのに、声が絞り出されてしまう。
間違いない。朝日がいる。嫌だ、聞かれたくない、こんな声、聞かれたくない、
「・・ッあ・・・、ぁ・・っ、や・・、ぁ・・ッ」
「可愛いですよ、先輩。もっと声出させてあげますからね」
出したくないのに、口を抑えることができなくて、声が出てしまう。
こんな高い声、多分もう、朝日に聞こえてる。朝日は、どう思ってるんだろうか。恋人が、他の男にやられて、こんな声を出して。
・・・俺、もう、朝日といられないかな、
「っぅ・・、も・・・っ、や、だ・・、あさ・・ひ・・、あ・・さ、・・ーーッんん・・ッ」
恋人である朝日の名を呼ぶ俺の唇を、荒く塞がれる。
結城の舌が俺の口内を埋め尽くし、口付けによるものか、それとも腰を打ち付ける音か分からない音が、耳にぐちゃぐちゃと響くのだ。
「ぁ・・、っん、・・ん・・っぅ・・、ぁ・・、」
「・・は、俺としてるのに他の男の名前呼ぶなんて、随分と薄情ですね」
朝日の代わりにしろだのなんだの言ってたくせに、さっきからなんなんだ、こいつは。最初と態度が違い過ぎる。
「ね、俺の名前呼んで、先輩」
呼ぶはずないだろう、恋人でもあるまいし。こんなに無理やりしておいて、何を言ってるんだ。
「・・っ、だ・・れ、が・・・ーーぁぁッッ」
「呼んでよ、先輩。呼んだら、止めてあげる」
すると、行き場のなく宙で揺れていた俺の性器をきゅっと握るのだ。
荒く上下にしごかれると、もう、何かが上り詰めてきそうだった。
「っひ・・・ぅッ、ぁ・・あ、・・や・・ッ、」
「あー・・、先輩、可愛い、可愛い、こんなに可愛いなら、弥生にやらせるんじゃなかったな」
凝りを突かれながらしごかれるのは、背筋がびりびりして、下腹部がやけどしそうなくらい熱くて、わけがわからなかった。
ーー駄目だ、これ、やばい。
「ゆ、・・ぅ・・き・・ッ、やめ・・、や・・ッ、お・・ね・・っが・・・ッ」
「っ、ごめん、先輩。俺も、無理かも」
止まれない、と呟いたと思えば、ずちゅずちゅとピストンが激しくなるのだ。
すると電流が走った様に下腹部がびくんっと震え、未だにしごかれたままの性器の先端が弾けた。
「ーーっい・・・ぁ、・・ッッぁ・・・、」
「先輩、イった?可愛い、可愛い。・・っ、俺も、」
するとばちゅん、と腰を激しく打ち付けられると同時に、ぎゅうと抱き締められると、奥で結城のものがぶるっと震えた。
「っ、咲良、先輩、」
「ん・・ぅ、・・・ッ・・、ぁ・・、」
どくどくと奥に注がれた精液が、結城が抜いたことによって栓を失い、股の奥からどろっと白濁の液体が漏れ出てベッドを汚すのだ。
「はー・・・、ごめん先輩、結局俺も出しちゃいました」
「っ、・・ぅ・・う・・・・ッ・・ぅ・・、」
「あ、泣いちゃいました?先輩、せっかく名前も呼んでくれたのに、俺、止まれなくって」
寝そべったままの俺を優しく抱き締めると、結城は、「泣かないで、先輩」と囁くのだ。
「離せ・・ッ」
「嫌です」
胸を押すが、結城はさらにぎゅううと抱き締めてくる。
なんなんだ、さっきから、こいつのこの変に甘い空気は。
「・・俺、先輩のこと気に入ったんで、特別に教えてあげます。朝日先輩のこと」
「っえ、」
ばっと顔を上げると、結城と目がばちっと合った。その瞳は、俺を捉えて離さないのだ。
「だから、俺のものになって、先輩」
「朝日先輩はーーー」
「ーーー結城、勝手に話すのは関心しないな」
聞き覚えのある声が、カーテンの外側から降ってきた。
すると、バッとカーテンが開けられるのだ。
そこにいたのは、生徒会長ーー那智。
それと、空いている扉からは、苦い顔をしている類、
ーーそして、俯いている朝日がいた。
「っあ、・・ッ、」
恋人の名を呼ぼうとした声は、声にならなかった。
朝日、朝日、朝日、心の中では何度でも呼べるのに、なぜ、声が出ない。
嫌われてしまったかな、こんな、汚れてしまった俺は、
「ぅ・・、ぅう・・、ふ・・・ぅ・・ッ、」
「っ、さく、ら」
目頭が熱くなり、大粒の涙が、頬を濡らした。
俺の名を呼ぶ朝日は、類に止められて中には入って来られない様だった。
「那智、先輩・・」
「・・・まあ、いい。次はないからね、結城」
すると那智は、未だ涙が止まらない俺の前まで来たと思えば、屈んでこちらと顔と合わせるのだ。
「ーーで、咲良くん、朝日くんのことが知りたいんだって?」
「っ、」
顔が、近い。
緩んでいた結城の腕から逃れることはできたが、謎の圧があるこの男の目からはなぜか、逃れることはできなかった。
「いいよ、教えてあげても」
「ーー朝日くんはね、自らの保身の為に、君を生徒会に売ったんだよ」
ーー瞬間、頭が真っ白になった。
扉の外にいる朝日は、俺と目を合わせない。
頬をつたっていた涙は、いつの間にか止まっていた。
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