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02※

「那智、先輩、俺、一人でできますから・・、」 「遠慮しないで、ほら」 「ぁ・・っ、ぅ・・、」  後ろから伸びてくる手が、下腹部の奥に指を這わせると湯船がちゃぷ、と揺れる。  中に入っている精液を探る様に、ぐりぐりと指が湯と共に入ってくるのだ。 「は・・、っあ、・・・、ぁ・・」 「俺の手の方が大きいからね。俺がやった方が効率がいいんだよ」 「・・っ、あ・・、や、・・だ、っ」  なんとか逃れようともがくと、 「暴れないで」 と、腹に手を回され、後ろから那智の息がかかるのだ。  ただでさえ疲労し切ったこの体では、抵抗などもはや無意味だった。 「でも、・・そうだな、咲良くんがそういう声出すと、俺も変な気を起こしてしまいそうになるね。あくまでこれは、君のことを気遣ってやってるだけなんだから」 「っ・・!」  何て意地の悪い言い方なんだろうか。  こうなったら、絶対声を出して溜まるもんか、と思った矢先だった。 「・・ねえ、俺は善意でやってるだけなのに、どうしてこんなことになってるのかな?」 「ーーッあ・・ッッ」  いつの間にか腫れ上がっていた性器を握られると、体がびくっと震え、湯もぴちゃっと波打つのだ。 「これ・・は、・・・ちが・・う、か、・・ら、・・・ッ」 「いけないね。これだけのことでこんなに大きくさせて・・。苦しいだろう、このまま抜いてあげよう」 「い、いい・・、ですから・・、」 「大丈夫、俺に身を任せて」  すると、握った性器を揉む様にしごくのだ。  湯で滑りが良くなっている性器は、それだけであっという間に熱を持ち始めた。  もちろん、その間も精液をかき出す指も止まることはなかった。  結城と弥生の名残が未だ残っているこの体では、少ししごかれるだけで、もう限界だった。 「っあ、・・・ま・・・って、・・や、・・・だ・・・ッ」 「もうイきそう?いいよ、出して楽になった方がいいからね」 「ーーーっぁぁ・・ッッ」  先端から熱が弾けると、体がびくびくっと仰け反り、力が入らなく余韻が残っている体を那智に預けてしまう。のぼせたのか、そのまま意識を手放してしまった。  那智の管理下と言っても、もちろん学校は行かなくてはならない。  登下校はもちろんのこと、休み時間、昼休み、放課後、すべてに那智が付いて回る生活になってしまった。  しかも朝日に接触させない為か、教室に着くのは授業開始ギリギリで、授業が終わった後はすぐに迎えに来るのだ。  さすがに那智自身はちゃんと授業に出ているのか心配になるところではあるが、その辺は生徒会長なのだから自由にしている部分はあるのだろう。  そんな生活をしている、ということもあり、朝日とは前回接触してから、話すこともなければ、朝日から目を合わせようともしてこない。おそらく、俺に対する負い目もあって避けている部分もあるのだろう。 「咲良くん、迎えに来たよ。行こうか」 「・・はい」  今日も授業終了のチャイムが鳴り終わったと同時に那智が迎えにやって来ると、席を立って鞄を持ち、扉にいる那智の元へ向かう。  最初は生徒会長直々に教室に来る、という光景にクラスメイトは皆驚いている様子だったが、数日経った今では、それが当たり前になっていた。  何日か前には体調が悪く、授業を抜けて保健室に行ったが、どこから見てるんだか保健室にまでやって来る始末だ。那智から逃れるのは困難なことだろう。  俺達の事情を知らない学校中の生徒は迷惑なことに、俺と那智が付き合っている、と皆して噂をしているのだ。 「やっぱさ、咲良くんついに会長と付き合ったのかな?」 「朝日くんと付き合ってたのかと思ってたけどやっぱり無理だったのかな、あの2人もお似合いだったのにね」  ・・・聞こえてるんだが。  ていうか"ついに"ってなんだ、"やっぱり無理"ってなんだ。 「・・でも会長ってめちゃくちゃかっこいいけどやばいよな、お前も言われただろ?会長にさーーー」 「ほら、咲良くん、行こう」 「あ、はい」  那智は聞こえていなかったんだろう、噂話をしていた生徒を気にするでもなく、俺の肩を抱くとそのまま教室を後にした。  この時、那智は一瞬後ろを振り返った様な気がしていたが、俺は気のせいかと思い、気にしていなかった。  ーー俺を見ていた朝日に向かって微笑んでいたことを。  この日は業務があるとのことで、生徒会室に同行することになった。  それは、まあ、いいんだが。 「ーーで、結城、ここの予算をね、見直して欲しいんだ」 「分かりました」 「弥生もここを頼むよ」 「了解です」 「類はこれよろしくね」 「はーい」  生徒会室で業務、ということは他の生徒会役員と顔を突き合わせる必要がある、ということだ。  まあ、隣に那智がいるし、何か言われることも接触してくることもないだろう、と思っていた時だった。 「そしたら次にこの件だがーーー」  ーープルルルル  スマホの着信音が生徒会室に響いた。持ち主は那智の様だ。 「・・・ああ、すまない。少し待っててくれ」  スマホを手に取った那智は、画面を確認すると、重要な電話だったのか、生徒会室を出て行ってしまったのだ。  静まり帰った生徒会室に残された、俺含め四人。 ・・・この状況、どうしたものか。

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