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「ーーーってことがあって、久々の咲良先輩、めちゃくちゃ良い匂いだったし可愛くてやばかったです」  咲良と結城の件があってから休日などを挟んだ数日後のこと。  那智、結城、類の三人で、咲良と朝日が来る前の生徒会室で盛り上がっていた。  弥生は好きな兄の情事のことなど聞きたくないのだろう。少し離れたところで本を読んでいた。 「え、めっちゃ役得じゃん。ずるいんだけど」 「まあ、ラッキーでしたね。入れる直前で逃がしましたけど」 「え、やっさし~。そこまでやったなら俺なら無理やりしちゃうなあ」 「いや、俺もそうするつもりでしたけどあんなに震えられたらさすがの俺でも無理ですよ」 「なんてもったいないんだ・・・!!」 「はッ・・、そうだ・・・!!誰か雇って咲良を襲わせれば俺も・・・ッ!!」 「那智先輩、それはさすがに気付かれますよ。バカなんじゃないですか?」 「やっぱ那智って頭すっからかんだよね~」 「だから何で当たりが強いんだお前達・・・ッ!!」  すると、本を読んでいた弥生は勢いよくガタッと立ち上がり、三人をきっと睨むのだ。 「お前らいい加減にしろッ!!もうそろそろ兄さん達来・・・、ぁ・・・」  いつからそこに居たのか、立ち上がった弥生の少し後ろ、空いていた入口で、咲良が俯いて震えていたのだ。  他の三人は咲良の存在に気づいていない。顔を真っ赤にした咲良は結城のすぐ後ろにまで歩を進めると、頭をバシッと叩くのだ。 「ーー痛って・・!!ちょ、何・・、ーーああ、咲良先輩じゃないですか、・・先日ぶりですね?」  にこっとわざとらしく微笑む結城に咲良は赤く染まった顔で鋭い視線を向けるのだ。 「お前・・・、余計なことをぺらぺらと・・・ッ!!」 「・・咲良先輩、俺、嘘は言ってないですよ?入れる直前までさせてもらったってことしか」 「っだから、そういうことを言うなって・・・ッッ、」 「ーーー咲良」  すると、後ろから伸びて来た手に、咲良は首根っこを掴まれるのだ。  嫌な予感しかしない咲良はゆっくりと振り向くと、そこには案の定、鬼の形相の朝日がいた。 「・・・お前、結城には何もされてないって、言ったよな?何で庇うんだよ。やっぱ結城のこと・・・」 「違うって!朝日怒ると怖いから!絶対好きじゃないから・・・ッ!」 「あは、咲良先輩、俺のこと好きなんですか?じゃあいっそ付き合います?」  じゃあ途中でやめなきゃ良かったな、なんて結城はクスッと笑うのだ。 「咲良先輩、キスまでしたんだから俺の気持ちは伝わってますよね?」 「次は逃がさないんで。覚悟ができたらいつでも俺の部屋来ていいですから」  ま、次は逃がしませんけどと結城はぽつりと呟くのだ。  やっぱキスされてたのかよ、と咲良の後ろでぶつぶつ独り言を言う朝日を挑発するかのようにふっと鼻で笑う結城に、朝日はカチンときたようだ。  するとぎゅっと痛いくらいに咲良の手を取る朝日に、咲良の顔は青ざめていく一方だった。 「・・俺達、今日は帰りますんで。後はよろしくお願いします」  行くぞ咲良、とぐいぐい咲良の手を引く朝日は明らかに怒っていた。  そしてそんな咲良達を見送る面々はまた始まった、とでも言うかのように誰もその光景を気にしていない。  ただ一人、結城だけは朝日に連れて行かれる直前に、「また遊びましょうね、先輩」と、咲良の耳に手を当て囁くのだ。  それに咲良は再び顔を真っ赤にさせると、むかっとした朝日は結城をべりっと引きはがし、ついには咲良を抱き上げて生徒会室を出て行った。  次はどうやって咲良にアプローチをしようかと、結城は楽しそうに頬杖を付いて考えている。  朝日に連行された咲良がどんなことをされたのかは、二人以外知るよしもなかった。

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