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13※
舌の上を這うどろどろとした液を吐き出したくて堪らなかった。
別人のような弥生を涙が滲む瞳でキッと睨むと、弥生は急かすかのように頬を撫でるのだ。
「ちゃんと飲めたらイかせてあげるけど、どうする?」
いつの間にか熱くなっていた下腹部を弥生の足でぐっと押されると、腰がびくっと跳ねてしまった。すると弥生はベルトを緩め、ズボンとパンツをずり下ろすのだ。
すでにパンツには先走りのシミができていて、それを見た弥生は笑った。
「俺の舐めただけでそんなになっちゃったの?兄さんこそ、早く入れて欲しくて堪らないんでしょ」
「·····これ、このままでいいわけ?·····ま、俺は別にいいけど」
「ーーっ、ん·····、ぅ」
弥生は指先を性器にするっと這わせると、先走りで手が汚れるのもお構い無しにちゅぷちゅぷとしごくのだ。
口の中のものを思わず飲み込んでしまいそうになったのをぐっと耐え、やめて欲しいと訴えるように弥生の腕にしがみつくと、弥生の動きがピタッと止まったのだ。
「っ·····、」
「·····やめて欲しそうだったからやめたのに、なんかもの寂しそうだね、兄さん」
弥生の言う通りだった。下腹部が熱くてじんじんする。もっと触って欲しい、イかせて欲しい、その気持ちだけが大きくなっていった。
そして俺はすがるように弥生の袖をきゅっと掴むと、弥生に見せつけるかのように、未だ口の中にあったどろどろとした液をこくんと飲み込んだのだ。
そんな俺を見た弥生は一瞬驚いた様子だったが嬉しい、と呟きこちらに向かって微笑むと、ぽんぽんと頭を撫でるのだ。
「本当に飲んだんだ。偉いね」
「っ·····」
すると弥生は先程飲んだら触ると言っていたにも関わらず、どうしようかなと顎に手を当てるのだ。
「あー·····、でも俺さ、他の男の匂い付けた兄さん抱きたくないんだけど?」
「その匂い、他に誰も気付かなかったみたいだけどさ」
ーーちゃんと洗ったはずなのに、朝日がいるからと急いでいたせいで落としきれてなかったのか。確かにあれだけヤれば少し流したくらいでは匂いは残ってしまうのかもしれない。
そんな弥生の言葉に特に驚いてもいない俺を見た弥生はへえ、と呟くのだ。
「匂いが残るくらいヤったわけ、那智先輩と」
「·····てかそもそもさ、そんなに抱いて欲しいなら、自分からお願いしなよ」
「っ、だれが······ッ」
「·····へえ、いいの?これ、このままでさ。·····ま、俺はいいけど、別に」
先程俺が馬鹿にしたように煽ったからだろう。その仕返しをするかのように、反り勃った性器を指先でつんつんと触られるだけで、腰が甘く痺れてしまうのだ。
「っぁ、ぅ·····」
「ちゃんとお願いできたら、入れてあげてもいいけど」
尿道の回りをくるくるとなぞられるじれったい感覚に、頭の中が痺れていった。
もっとぐちゃぐちゃとしごいて欲しい。奥を思い切り突いて欲しい。そんな欲望でいっぱいになった頭の中は、だんだん麻痺していった。
「や、よ·····い·····、さわって、おねが·····、い·······っ」
「ーーっ、ちょ、兄さん·····、」
今も尚指先だけ性器に触れている弥生の大きな手に俺の手を添え、弥生の手ごと性器を包み込んでしごくと、弥生は驚いている様子だった。
自分の手ではない弥生の筋張った手に先走りが絡み、ちゅくちゅくとしごくのは腰が浮くほど気持ち良くて、手が止まらなかった。
「っぁ、やよ、い·····、」
「·····っ、·····ねぇ、なんで俺の手で勝手にオナニーして、気持ち良くなってるの?」
「あ··········、」
もう少しで達することができたというところで手を押しのけられてしまい、寸止め状態の俺はもう限界だった。
そんな腰が震えている俺を見る弥生は仕方ないなと呟き立ち上がったと思えば、俺の体がふわっと宙に浮いたのだ。
驚いた俺はぱっと弥生を見上げると俺を抱き上げた弥生はねえ、と呟くのだ。
「兄さん、お風呂一緒に入ろう?小さいころはよく一緒に入ったしさ」
「·····え、」
いや子供のころと今では一緒に風呂に入ることは意味がだいぶ違ってくるだろう。
そんな俺の思考はお構い無しに、こちらに意味深な笑顔を向けた弥生は俺を抱えたまま浴室へと向かった。
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