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「いや、それはさすがに·······、」 「いいじゃん、俺と咲良の仲だろ。友達同士の部屋を行き来するとか普通だって」  ーーまあ、確かにここで俺が断るのも変に意識しているような感じになるのだろうか。 「·····俺の寝るところはあるのかよ」 「あるある!布団もう一つあるから!友達とお泊まりとかずっと夢なんだよ·····!」  まあ、それは分からなくもない。俺もずっと朝日の部屋に泊まっていたから、今自分の部屋で一人でいるのは、正直寂しくはあった。  椎名はお願い!と、目をうるませて俺を見つめるのだ。  迷ったが、そんな期待に満ちた表情をされれば行かないなど言えるはずもないだろう。 「·····分かったよ」 「まじ?!」  やったと、小さくガッツポーズをする椎名に大袈裟な奴だなと思った。  そんなに喜んでくれるのなら、泊まるのもたまにはいいのかもしれない。  デリバリーを頼んで飲み食いしながら、俺達は雑談やゲームをして盛り上がっていた。  いつもと変わらない様子の椎名を見て、もしかしたら襲われるかもしれないなどと、俺は自意識過剰だったのかもしれない。  冷蔵庫にあるものを何でも飲んで良いと言われ、オレンジの絵のあまり見たことのない缶を、おそらくオレンジジュースだろうと手にした。椎名との話に熱が入り、あまりにも喉が渇いていたからその場で缶を開けてごくごくと一気に飲んでしまった。  ·····のは、いいんだが。このジュース、何か違和感がある。賞味期限は大丈夫そうではあるが。 「っえ、それ酒なんだけど·····!」  椎名の声が届いた時にはもう遅かった。  だんだんと頭がぐらぐらとしてきて立っていられなくなった俺は、その場にうずくまってしまった。 「·····大丈夫か?」  駆け寄ってきた椎名に優しく背を撫でられると、余程酷い顔色だったのだろうか。そのまま椎名に抱えられ、俺はベッドに連れて行かれた。  優しくベッドの上に下ろされると頭がぼうっとしていたのもあり、柔らかい布団が心地良くてなんだかうとうとしてきてしまった。  椎名はいつも俺に触れている時と同じように頬に手を当てた。  肌を滑る手が、冷たい。頬を撫でる椎名の手に自分の手を添え、頬にぴとっとと押し付けると、とても気持ちが良かった。  すると椎名の肩がぴくっと揺れるのだ。 「っちょ、咲良·····、」  椎名の静止を気にすることなく、手にすりすりと頬を寄せた。すると、椎名の手を押さえていた俺の手を置き去りに、椎名は手をするっと鎖骨へ滑らせるのだ。 「·····んっ」 「咲良······、そんなことされたら襲うけど、いいの·····?」 「·····ん、なに、しいな、ーーーっ、」  舌っ足らずな返事をしたと同時、服の中にするっと手を入れられ、指先が肌をかすめた。こそばゆくて吐息が漏れると椎名は可愛い、と目を細めるのだ。  ーーーあれ、なんでこんなことになったんだっけ。  この状況がおかしいとは思うのに、頭がふわふわして思考が回らなかった。  そんなことを考えている間にも椎名が止まることはなく、俺に覆いかぶさってくるのだ。 「·····余計なことは考えなくていいよ。咲良はそのまま寝てて」 「な·····に、ーーっぁ」  声が降ってくると同時、指先が小さな突起をかすめた。思わず高い声が漏れたのを合図に、椎名の目つきが変わった気がした。

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